長崎、広島両市 五輪・パラに合わせ原爆展 首都圏で核廃絶訴え

 長崎市は28日、今夏に開催予定の東京五輪・パラリンピックに合わせ、東京都と埼玉県の計3カ所で、原爆展を広島市と共催すると明らかにした。昨年に実施予定だったが、五輪・パラ延期の影響で先延ばししていた。原爆の実相を伝える写真パネルの他、被爆死した若者の遺品などを展示し、首都圏や全国の若い世代に共感や核廃絶への理解を促したい考え。
 同日の市議会一般質問で久八寸志議員(公明党)の質問に、田上富久市長は「『平和の祭典』によって人々の関心が平和に向く絶好の機会。被爆地としての使命を果たす」と述べた。
 7月18日~9月5日に随時、東京の文京区と千代田区、埼玉県飯能市の3会場で開く。長崎市は、長崎原爆が投下された午前11時2分で針が止まった柱時計のレプリカや、ロザリオなどの遺品を展示する。
 前田孝志・原爆被爆対策部長は答弁で、被爆死した特定の学生に焦点を当てて遺品や手紙、遺影などを一体的に展示することで「原爆で未来を失った若者の生と死を通して次世代の共感を呼び、核廃絶への理解や平和な未来を考えるきっかけにしたい」と述べた。
 期間中には展示会場で、被爆者が自らの体験を語る講話も実施できないか調整している。

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