長崎市教委 年金機構提訴へ 学期ごと任用職員の保険加入巡り

 長崎市教委が学期ごとに任用する学校職員を、年間を通じて健康保険や厚生年金保険に加入させなかったのは不適切だとして、日本年金機構が過去2年間にさかのぼって加入させるよう求めた遡及(そきゅう)措置について、不服とする市教委が長崎地裁に取り消しを求めて提訴する方針を固めたことが30日までに分かった。
 市教委によると、遡及措置の対象者は市内小中学校などの特別支援教育支援員や司書、調理員ら183人。学期ごとに任用され、春・夏休みなどの休業期間中は任用を解かれていた。
 このうち、(1)週の勤務時間が正規職員の4分の3(30時間)以上の人は休業中に保険加入せず、(2)週20時間以上30時間未満の人は全期間で未加入だった。
 同機構・長崎南年金事務所が2019年度の社会保険総合調査で問題を指摘。対象職員は同年12月までに保険加入した。
 同事務所は厚生労働省通知に基づき、任用が断続的であっても使用関係は事実上継続していると指摘。過去2年間に遡及し、(1)と(2)のそれぞれで保険に入っていない期間の加入を求めた(いずれも報酬の支払いがない夏休み中は除く)。
 これに対し市教委は、16年度の調査では指摘を受けておらず、「保険加入手続きが適切と認められたと考えた」と主張。納付すべき保険料は職種平均で数万~30万円程度に上ることなども踏まえ、昨年2月、厚労省九州厚生局へ審査請求したが、今年3月に棄却された。
 市教委は遅くとも9月には日本年金機構を提訴する方針。同機構は取材に対し、「処分内容など個別の案件には答えられない」としている。
 また市教委は、昨年2月の審査請求前に市議会の議決を得ていなかったとして、30日閉会した定例市議会に追認を求める議案を提出し、可決された。

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