長崎・男児誘拐殺害から18年 命日に花束 現場訪れ悼む市民

事件から18年。地蔵に静かに手を合わせる市民=1日午前11時33分、長崎市万才町

 長崎市で2003年、4歳男児が12歳の少年に誘拐され立体駐車場屋上から突き落とされて殺害された事件から1日で18年。市は今年、献花台の設置を終了したが、事件現場そばの地蔵堂付近には朝から複数の花束が供えられ、市民らが男児を悼んだ。
 「当時は高校生だったが、親になって気持ちが分かるようになった」。4歳の息子を育てる同市の男性介護士(36)はニュースで男児の命日と知り、仕事終わりに花を携えて現場を訪れた。
 事件が起きた日に近所に引っ越して来たという60代の無職女性は「18年たってもやっぱり思い出してつらい気持ちになる」と涙を流した。
 地蔵堂を設置した同市立山1丁目の井村啓造さん(74)は地蔵堂前で僧侶にお経を上げてもらった。「当然風化はしていくが、少しでも風化を遅らせられるよう、やれるだけやっていこうと思う」。事件から20年を前に、地蔵堂を建て替える予定という。
 事件を機に発足し、少年少女の非行防止や健全育成に取り組む県警の「学生サポーター」の大学生6人も訪れて黙とうし、繁華街を巡った。サポーターで活水女子大3年の一井麻里子さん(21)は「私たちのような大人が、子どもにとって良い環境をつくらなければ。このような事件が起こらないよう子どもだけでなく大人たちにも伝えていく必要がある」と話した。

 


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