「戸石ゆうこうシマアジ」 初の店頭へ 地元産魚浸透のチャンス

刺し身やすしに加工された「戸石ゆうこうシマアジ」が並ぶ店頭=長崎市、エレナ矢上店

 長崎市の伝統かんきつユウコウを餌に混ぜて出荷した同市戸石地区産のシマアジが2日、「戸石ゆうこうシマアジ」として初めてスーパーに並んだ。生産者は「一般消費者に地元の魚の味を浸透させるチャンス」と意気込んでいる。
 粉砕したユウコウを養殖魚に与えて食味を良くする試験は、市水産センターが2015年度から取り組み、切り身の褐色化を遅らせる「抗酸化作用」の効果が確認されている。
 導入したのは同地区の養殖業者、昌陽水産(長野陽司社長)。コロナ禍で飲食店向けの需要が落ち込み、一般消費者への知名度を上げたいと思ったのがきっかけ。「かぼすヒラメ」(大分)「みかんブリ」(愛媛)などがヒントになった。
 出荷前の10日間、ユウコウを餌に混ぜて与えたシマアジを昨年11月からインターネットや魚市場で販売。ネット上では一定の評判を得ることができた。しかし魚市場では普通のシマアジと同様に取引され、付加価値が伝わらなかった。
 そんなシマアジの品質に注目したのは食品スーパー約40店舗を展開するエレナ(佐世保市)。昌陽水産と直接取引し「戸石ゆうこうシマアジ」とネーミング。2日以降、週末の金土日曜に販売する。戸石地区に近い矢上店の鮮魚売り場には特設コーナーを作り、刺し身や切り身、加工したすしや丼も並べた。
 長野社長は「地元農水産物のコラボで生まれた魚。食べた人からは魚の生臭さが抑えられていておいしいという評判を聞く。スーパーの店頭に並ぶことで、広く知ってもらいたい」と話している。

「戸石ゆうこうシマアジ」を手にする長野さん=長崎市牧島町

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