佐世保市立小中学校 再編へ 20年後見据え 地域の意見交換始まる

山澄、南、崎辺地区の再編案

 長崎県佐世保市立学校の初の本格的な再編に向け、地域での意見交換会がスタートした。初回は山澄、南、崎辺各地区にまたがる再編で、市教委が具体案を提示。12月までをめどに市内の対象校区で意見交換し、再編可能かどうか方向性を協議する。
 21日夜、市立潮見小校区の意見交換会。市教委新しい学校推進室の担当者が、少子化や学校施設の老朽化が進む現状を説明し、再編の必要性を語った。
 同地区での再編案は▽福石中を崎辺中に統合▽木風小(稲荷町)と福石小を統合▽木風小(木風町・藤原町)と白南風小を統合▽「白南風・木風統合小」と潮見小を統合-という内容。参加した保護者や地域の住民からはスピード感を求める意見や、校区について検討を望む声は出たが、再編への異論はなかった。

 市教委は統廃合や校区の見直しが必要な小中51校を地区別に17グループに区分。2020年度から学校やPTA役員らへの説明を始めており、21年度は優先度が高いグループから地域と協議を進める。地域の同意をおおむね得られれば、21年度中にまとめる予定の学校再編整備計画に盛り込む。
 再編の狙いは、学校規模の適正化。市教委によると、2019年の児童生徒数をピーク時と比べると、児童数は1959年の5万8119人から約76.5%減の1万3653人。生徒数は62年の2万8738人から約78.5%減の6180人まで減った。市内の市立学校は小学校44校、中学校24校、義務教育学校2校の計70校。このうち11学級以下の小規模校は19年度時点で全体の約66%に当たる46校(小学26、中学18、義務教育学校2)に上り、30年間で約25ポイント増えた。
 市教委は、小規模校はきめ細かな指導がしやすい利点がある一方、クラス替えができず人間関係が固定されるなどの課題が生じる可能性を指摘。コミュニケーション能力や社会性などを身に付けるためにも一定規模以上の学校規模が必要だとする。
 施設の老朽化も進んでいる。建築して40年以上経過する校舎は全70校中49校に上り、70%で建て替えなどを実施する時期を迎えている。将来の児童生徒数を見据えた学校再編を行い、効率的な新しい教育環境を整備することが求められるという。
 市教委新しい学校推進室は「20年後の学校の姿を見据え検討を進めていく。多くの人に参加してもらい、意見を聞かせてほしい」としている。

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