ソフトバンク・千賀が衝撃10失点 侍ジャパンへ不安も…球界からは別の見解

左足首靱帯損傷から一軍復帰したソフトバンク・千賀滉大投手(28)が6日のロッテ戦(ZOZOマリン)に先発して3回途中10失点で降板。東京五輪代表に追加選出されてから初の公式戦は、残酷な結果となってしまった。「チームが連勝していた中で、その雰囲気を壊してしまったこと、流れを止めてしまったことが悔しいし、情けない」。降板後のコメントに期待に応えられなかった不甲斐なさがにじんだ。

負傷した4月6日以来の一軍マウンド。登録期限の問題もあり、一軍復帰戦を見ずに代表首脳陣は5日に追加招集を決めた。患部に問題がないことを確認した上で、7月末の五輪初戦から逆算して状態を分析。能力と国際大会での実績から、大きな戦力になると判断しての招集だったと見られる。

今回の乱調に野球ファンの不安は募り、代表招集の是非を問う声は広がるかもしれない。「調整不足という印象は拭えない」。球界内からもこの日の投球に手厳しい声が上がった。ただ、こんな声があったのも事実だ。

「球自体は悪くなかった。体に問題がないことは確認できたし、それは千賀本人も感じているはず。そこはプラスで、うまくいかなかった自己分析をできれば、周囲が不安を煽る必要はないのではないか」

初球に投じた真っすぐは158キロ。工藤監督も「足に気を取られたということはないと思う。球の走り自体は初回から球速が出ていたので『これはイケるぞ』と思って見ていた」と同様の感想だった。

3回途中9安打、自己ワーストの10失点で「三振0」という結果が結果だけに、世間の辛辣な見方は当然かもしれない。ただ、体に異常がなく調整を踏めば、おのずと状態が上がるという見方がプロの中にあるのだ。球界関係者の中には声を潜めて「今の状態だけにホークスには気の毒ですが、五輪では状態を上げて相手をねじ伏せる姿が浮かぶ。1か月後に世間の〝手のひら返し〟がありそうな気がします」という声もあった。

「本当に申し訳ない」と頭を下げた千賀。世間の声も真正面から受け止めているはずだ。すでに五輪代表としての時計の針は動き出している。反骨心で育成入団から這い上がった男は、手のひら返しの逆襲を見せられるか――。

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