任期満了に伴う横浜市長選(8月8日告示、22日投開票)を巡り、元長野県知事で作家の田中康夫氏(65)が8日、横浜市内で会見し、無所属で出馬すると正式表明した。大きな争点となるカジノを含む統合型リゾート施設(IR)誘致には反対の立場を示した。
IRについて田中氏は「過半数を上回る市民がノーと言っている」とした上で、「もう答えは出ている。カジノ、IRを設けないという市民のコンセンサスは得られている」と述べた。
「創る・護(まも)る・救う」をキーワードに、独自の政策「12の取り組みYOKOHAMA2021」を発表。市内18区に根差した行政サービスを充実させるほか、保育園の「保留児童」問題解消や、市立中学校のデリバリー型給食「ハマ弁」を見直して単独校調理方式の給食の導入などを挙げた。上瀬谷通信施設跡地(同市瀬谷、旭区)に医療・救急・消防・保健の拠点「統合型レスキュー」を設ける構想も披露した。
FMヨコハマで番組を6年間担当するなど横浜との関わりを紹介した田中氏は、「不安や悲しみ、憤りを皆さんと一緒に確かさや喜び、希望に変えたい。横浜の力に変えていきたい」などと訴えた。
田中氏は東京都出身。一橋大在学中に発表した小説「なんとなく、クリスタル」で文藝(げい)賞を受賞。2000~06年に長野県知事を2期6年務め、「脱ダム」宣言で注目を集めた。07~12年に参院・衆院議員をそれぞれ務めた。
同市長選には、元国家公安委員長の小此木八郎氏(56)=衆院3区、自民党=や、立憲民主党が推薦する元横浜市立大教授の山中竹春氏(48)のほか、横浜市議の太田正孝氏(75)、動物保護団体代表理事の藤村晃子氏(48)、元衆院議員の福田峰之氏(57)、水産仲卸業社長の坪倉良和氏(70)、弁護士の郷原信郎氏(66)がそれぞれ立候補の意向を表明している。現職の林文子市長(75)は態度を明らかにしていないが、4選出馬の方向で調整している。