梶谷の離脱懸念も「巨人は不幸中の幸い」 阪神猛追へ…専門家が語る“理想の打順”

巨人・梶谷隆幸【写真:荒川祐史】

理想の上位打線を形成「走者を置いて主砲の岡本に回すことが第1の課題」

巨人は10日、敵地・甲子園球場で行われた阪神戦に8-1で大勝し、首位の阪神とのゲーム差を2.5に縮めた。「5番・一塁」でスタメン出場したウィーラーが、2試合連続の10号ソロを含む3打数2安打2打点と活躍。一方、梶谷は初回に右手甲付近に死球を受けて途中交代。長期離脱の可能性も懸念される。

猛虎に迫る巨人は、七夕の夜から「恐怖の2番打者」として威力を発揮していたウィーラーと、5番を打っていた坂本勇人の打順を入れ替え、ここにきて機能している。2番から坂本、丸、岡本和、ウィーラーの並び。現役時代にヤクルト、阪神など4球団で21年間捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏も「巨人の2~5番はこれがベストだと思います」と評価する。

ウィーラーは10日現在、チームトップでリーグ2位の打率.321を誇る。5月11日のDeNA戦以降、42試合連続で2番を務めていたが、7月7日の中日戦から5番に。野口氏は「もともとウィーラーの2番は、坂本が骨折、丸も不振で2軍落ちする中で編み出された、いわば“非常時の2番”でした。巨人打線は1~3番に出塁率の高い打者を置き、塁上に走者がいる状況で主砲の岡本に回すことが第1の課題ですから」と分析。さらに、こうも言う。

坂本の起用は「5番より2番の方が似合っていますよ」

「原監督は本来、新外国人のテームズかスモークに5番を任せたかったのだと思いますが、結果的にウィーラーがその役割を果たしそうですね」

メジャー通算96本塁打のテームズはデビュー戦となった4月27日のヤクルト戦で右アキレス腱断裂の重傷を負い、今季中の復帰は絶望的。メジャー通算196本塁打の実績を誇るスモークも6月に家庭の事情で退団する誤算続きだったが、昨季途中に楽天からトレードで加入したウィーラーに救われた格好だ。

「坂本も走者を還す役割より、自ら塁に出る役割を長く務めてきた。その方が光る。5番より2番の方が似合っていますよ」と野口氏は付け加えた。

一方、心配なのは梶谷の状態。この日は「6番・右翼」で出場していたが、今季32試合で「1番」を務めてきた。野口氏は「梶谷と松原で調子のいい方を1番に置く形で、バランスが取れていた。梶谷の離脱は痛い」と見る。

もっとも、プロ野球は今月14日を区切りに、オールスター期間、さらには東京五輪開催に伴う中断期間を迎え、再開は8月13日。「骨折となると、梶谷は普通なら約40試合を失うことになったはずですが、おそらく9月には復帰できるでしょうから、今季の場合は大幅に少なくて済みそう。不幸中の幸いと言えると思います」と野口氏。阪神とのマッチレースはまだまだ続きそうだが、巨人にもツキは残っている。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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