【U―24】日本の至宝・久保建英「新天地決定のポイント」を恩師が分析

ホンジュラス戦で強烈な存在感を放った久保

日本の至宝が〝運命の選択〟に直面している。東京五輪サッカー男子代表が12日の国際親善試合ホンジュラス戦(ヨドコウ)で3―1と勝利し、本番に向けて大きく弾みをつけた。エースのMF久保建英(20=レアル・マドリード)は先制ゴールをアシストする活躍。五輪を前に去就にも注目が集まる中、新天地を決める上での重要なポイントを恩師が分析した。

本大会へ向けてほぼベストメンバーが顔をそろえた森保ジャパンの中で、強烈な存在感を放ったのが久保だ。

日本は前半13分に右サイドでFKを獲得。キッカーを務めた久保が相手の動きを見ながら左足でふわりと浮かしたボールを中央へ入れると、後方から絶妙なタイミングで走り込んだDF吉田麻也(32=サンプドリア)が右足で軽く合わせてゴールへ流し込んだ。久保が〝魔法の左足〟で先制点を呼び込み、チームに勢いをもたらした。

本大会の1次リーグで対戦するメキシコを想定したホンジュラスに快勝し、森保ジャパンは視界良好。エース久保への期待は高まるばかりだが、比例するように去就問題への注目も高まっている。昨季はビリャレアルとヘタフェで出場機会に恵まれず、今季は保有元のRマドリードから再びレンタル移籍が濃厚とみられている。

スペイン内外の多くのクラブからの関心が取りざたされる中、新天地はどこになるのか。FC東京時代の恩師にあたる福井哲氏(66=城西国際大サッカー部監督)が、移籍先を決めるポイントをこう分析する。

「やはり監督の志向。絶対に好き嫌いはあるし、建英に何を求めるかが重要になる。建英中心のチーム編成だと、より彼の特長が生まれてくるけど、建英が11分の1という役割を与えられてチームの中で力を発揮できるようになるまでには課題があるという指摘もある」

指揮官の考えや方向性をじっくり見極めることが新天地での成否を分けるとみている。昨季苦しんだビリャレアルやヘタフェでは守備の難点ばかりがクローズアップされ、監督は久保をチームの単なる〝駒〟としてだけ扱っていたフシがある。

もちろん現段階で久保を〝王様〟として迎えるチームはまずないだろうが、2季前に活躍したマジョルカのように長所を生かした起用法をじっくり検討してもらえるような指揮官が理想と言える。とはいえ、移籍市場には需要と供給のバランスがあるためそう簡単にはいかない。理想と現実の狭間で、久保がどちらを重視してチームを選ぶかがポイントになるというわけだ。

「自分の志向を追いすぎると〝この監督とは合うけど、この監督とは合わない〟ということにもなり、試合に出る選択肢が狭まってしまう。11分の1なのか、そうじゃないのか。いろんなプランがあるだろうが、失敗はしたくないと思うので、彼自身がどう決断をするか」

日本の至宝は最終的にどのチームを選択するのか。新天地の行方に注目が集まる。

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