長崎県民宿泊割引、佐世保再開へ 客足の戻りに「不安」も

 長崎県民限定の県内宿泊割引キャンペーンが佐世保市でも15日から再開されることが決まり、宿泊事業者や市民からは歓迎の声が上がった。一方、飲食業界からは「すぐに客足が戻るとは思えない」と不安の声が聞かれた。
 同キャンペーンは1日再開したが、佐世保市のみ新型コロナウイルス感染が拡大傾向で推移しているとして、同市民の利用と同市内の宿泊施設の適用が見送られていた。
 ホテルオークラJRハウステンボス(同市)の担当者は「やっと再開が決まり、安心した」と胸をなで下ろす。学校の夏休みに入る前のタイミングだったため、夏休み期間中の宿泊予約の増加が期待できるという。他市町に比べ2週間遅れたが「それくらいで再開できて良かった。感染対策を万全にしてお客さまをお迎えしたい」と前向きに受け止める。
 利用を待ち望んでいた市民も歓迎する。大学職員の40代男性は「利用することで、経済回復の役に立ちたいという思いもある。雲仙や島原などに行ってみたい」。
 一方、市内の飲食業者でつくる佐世保観光料飲組合の牛島俊治常務理事(51)は「手放しでは喜べない」と危機感を募らせる。これまでにも県内の感染者が減少した時期はあったが、客は戻らず、苦しい状況が続いている。「みんな死に物狂いで頑張っているが、売り上げが8~9割減っている事業者も多い。県や市には、飲食店利用者が増えるような取り組みをしてほしい」と支援を求める。
 市保健福祉部の野村成人部長は「市民に我慢を強いるばかりで心苦しかった。ひと安心したが、今後は第5波も予想される。感染の再拡大を食い止めるため、引き続き対策の徹底をお願いしたい」と話した。

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