【東京五輪】バッハ会長ひっそり官邸訪問…何を言っても炎上する〝令和の大火〟の様相

バッハ会長を乗せた車両(白)がパトカーに先導されて首相官邸へ向かった

東京五輪の開幕が目前に迫る中、国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長(67)が14日に官邸を訪問し、菅義偉首相(72)と面会した。前日には「日本人」を「中国人」と言い間違えて、大炎上したばかり。この日の会談や取材対応でも口を開くたびに批判の集中砲火を浴びる始末で〝ぼったくり男爵〟に対する世間の不信感はピークに達している。

14日の午後3時すぎ。周辺に緊迫したムードが漂う中、バッハ会長を乗せた車がパトカーに先導されて首相官邸に現れた。国賓級のVIPだけに、本来であれば正面から堂々と登場してもおかしくない立場。しかし、この日は6車線ある広いメインの通りではなく、関係者の車両しか通れない官邸北側の狭い2車線の道路が使用された。

永田町関係者は「警備上の理由ではないか」と推測する。新型コロナウイルス禍での強行開催には、今でも国民の間には否定的な意見が根強い。IOCの独善的な姿勢や金満体質も批判の対象となる中、前日13日にはバッハ会長が「日本人」を「中国人」と言い間違える大失態。世間の怒りの火に油を注いだ。今回の人目を避けるような訪問は、五輪反対派を刺激することを避ける狙いだったのか…。

バッハ会長は菅首相との面会で「われわれが日本国内にリスクを持ち込むことは絶対にない」と強調。一方で、会談後に報道陣からコロナの感染防止策をまとめた規則集「プレーブック」が守られていないとの指摘を受けると「(違反行為があったとの報告は)私のところには届いていない。検査体制は成功している」と言い切った。

この発言にはネット上で「自分で情報収集しろ」「裸の王様か」などと一斉にツッコミが入る始末。首相との会談で「この大会が歴史的なものになると確信している」と述べたことについても「確かに歴史的なひどい大会になる」「ある意味、歴史的。感染がまん延する中での狂気狂乱の五輪」と非難されるなど、もはや何を言っても袋叩きにあう〝悪循環〟に陥っている。

この日の東京都の新規感染者数は1149人。5月13日以来となる1000人の大台超えという事実も、IOCトップの言葉をむなしく響かせた。バッハ会長は16日に広島を訪問予定。すでに地元の有志たちは反対デモ決行の準備を整えている。このまま〝ぼったくり男爵〟は日本国民の不信感を払拭できないまま、五輪本番を迎えることになりそうだ。

© 株式会社東京スポーツ新聞社