諫干 請求異議訴訟差し戻し審 「考え方」への国の見解、文書で提出へ

 長崎県の国営諫早湾干拓事業の開門確定判決を巡る請求異議訴訟差し戻し審の進行協議が14日、福岡高裁(岩木宰裁判長)であった。進行協議は非公開。開門派弁護団によると、同高裁が4月に示した「和解協議に関する考え方」への見解を国が次回期日(8月18日)までに文書で提出し、それを踏まえて協議することを確認した。
 同高裁は4月、同事業を巡る一連の問題が複雑・深刻化した事態を踏まえ、「統一的、総合的かつ抜本的に解決するためには、話し合いによる解決のほかに方法はない」などとして、和解協議の場を設けることを文書「和解協議に関する考え方」で示した。
 開門派弁護団によると、「考え方」に対し、国は6月の前回進行協議で同高裁に質問。その後、同高裁からの回答を受け、国は14日の進行協議で見解を口頭で示した。同高裁は文書で提出するよう求めた。一連のやりとりは国と同高裁との個別協議でなされ、質問や見解の中身について、開門派弁護団には現時点で明らかにされていない。
 開門派弁護団は新たな上申書を提出。「考え方」への賛同が各地で広がっているとして、上申書ではその反響や今後の具体的な和解協議の進め方の案を示した。終了後、馬奈木昭雄弁護団長は「『国が協議を引き延ばさないよう注文してほしい』と裁判所に申し上げた」と述べた。
 一方、農水省農地資源課は取材に「非公開の進行協議での具体的な対応については明らかにできない」とした。開門派が「和解協議が始まり、続いている」としている点については、「(現在行われているのは)進行協議であり、和解協議ではない」と強調した。

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