【フレッシュ球宴】防御理1・02の証明 鷹・スチュワート大化けの秘密は〝上から目線〟

マウンドに君臨したスチュワート

鷹の黒船は、やはり本物だ。ソフトバンクのカーター・スチュワート投手(21)がフレッシュ球宴に初出場。6回から登板し、1回無安打2奪三振で無失点に抑えた。全12球ストレート勝負。最速は153キロで、角度ある真っすぐで押しまくった。高めの釣り球に思わず手を出して空振りする打者の悔しそうな表情が印象的だった。

二軍で6勝無敗、防御率1・02という数字が進化を物語る。ウエスタン無双中の21歳にとって、イースタンの若手有望株を牛耳ったことは、さらに自信を深めたはずだ。4月から約1か月、一軍に中継ぎとして帯同。4試合に登板して防御率10・13と「一軍の壁」を体感したことで、急激な成長曲線を描いている。

証言するのは倉野ファーム投手統括コーチだ。「一軍を経験して足りないものがはっきりした。それを自分で気づいたことが大きい。それは球速ほどの怖さを打者が感じていないということ。そのためにフォームの微調整を行った。今、二軍では打者がボール球を振ってくれる。『抑えて当たり前』という感じで、いい意味で見下している」。体重移動とリリースポイントの改善に取り組み、飛躍的成長を遂げている。倉野コーチが「うまくいけば、今年中に『先発で1勝』というのが達成できる」と冷静に語るのも、決してリップサービスではない。

3年前の全米ドラフトで1巡目(全体8位)指名を受けた逸材。ソフトバンクと6年契約を結び、メジャー球団がその育成過程を注視している。Bクラスに沈む王者が逆転優勝を目指す中で、来日3年目の黒船が先発チャンスをつかむにはさらなるアピールが必要だ。

「この短期間の成長ぶりは正直、想像を超えている」(倉野コーチ)。NPBから世界的投手を目指す21歳が今、大化けの時を迎えている。

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