「そろりそろり」の夏

 来週の暦はどうも紛らわしい。いつも見ているカレンダーでは、19日は祝日の赤い文字、22日と23日は平日の黒い文字だが、実際にはその赤と黒が入れ替わり、22日から4連休に入る▲東京五輪に合わせて祝日を移動させることを法律で定めた。22日は「海の日」、五輪が開幕する23日は「スポーツの日」、閉幕する8月8日は「山の日」、長崎原爆の日は振り替え休日になる▲五輪と連休を重ねたのは、東京で出勤者を減らして混雑を避け、警備を行き届かせるためだった。今では巣ごもりのための連休に思えてくる▲あちこちの海辺でイベントがある日、スポーツを楽しむ日、山に親しむ日。三つの祝日はどれも外出を勧めている感じだが、今年は「五輪を自宅のテレビで見る日」になる▲今もコロナ感染が広がっている所では、気ままな外出も、行楽もない日々が続く。県内はどうか。感染は「散発」にとどまり、県民に限って県内での宿泊料を割り引くキャンペーンは佐世保市でも再開された▲閉めきったドアをそろりと開き始める。今はいわば、そんな時期だろう。裏返せば、またもドアを閉めるのか、開放的な気分で行楽や旅行を楽しめるのか、その分かれ道に私たちは立っている。慎重に、注意深く、少しずつ。この夏、「そろりそろり」の行動が試される。(徹)

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