「笑いと涙、新たな挑戦」 漫才コンビ・アップダウンが原爆劇 8月初公演

原爆劇を交えたアップダウンの漫才の映像を見る被爆2世ら(手前)=長崎市、長崎原爆被災者協議会

 吉本興業のお笑いコンビ「アップダウン」が来月、原爆劇を交えた漫才を、長崎市内で初公演する。制作を依頼した被爆2世らが14日、試演の映像を視聴。「笑いと涙の両方があった」「継承への新たな挑戦」と期待の声が上がる一方、「原爆の場面を増やして」との注文も。意見を踏まえ、完成度を高めていく。
 アップダウンは1996年、阿部浩貴さん(44)と竹森巧さん(43)が結成。東京の劇場に出演する他、3年前から古里北海道のアイヌ民族や鹿児島・知覧の特攻隊など、歴史を扱う芝居も全国で上演している。
 今回の漫才は序盤で、長崎被災協・被爆二世の会・長崎(山崎和幸会長)に制作依頼を受けた時のエピソードや、普段の芸能活動を軽快なトークで紹介。その後、雰囲気をがらりと変え、広島と長崎の惨状を描いた絵「原爆の図」の解説文を朗読。2人芝居では被爆医師の永井隆博士と、心に深い傷を負った被爆者の少年を演じ、最後は復興に向かう戦災者の希望を表現した歌で締めくくる。
 14日は被爆者ら10人ほどが視聴し、ビデオ通話でアップダウンと意見を交わした。同市の胎内被爆者、陸門良輔さん(75)は「原爆を分かりやすく後世に伝えようという気持ちが伝わってきた」と評価。同会事務局長で被爆2世の柿田富美枝さん(67)は「(前半は)小学生の孫も笑うだろうと想像した。よく知る被爆者をしっかり演じてくれてうれしい」と話した。
 一方で「原爆に関わる場面や、歌をもう少し増やしてほしい」「話すスピードが速くて聞き取りづらい」などの意見も。竹森さんは「初めての試みで手探り。笑い(の内容や量)は精査する。めりはりをつけ、練習を繰り返して完成度を上げていきたい」と意気込みを語った。

 公演は8月11日(1)午後1時半(2)午後6時半、長崎市岡町の長崎原爆被災者協議会地下講堂。チケットは大学生以上千円、高校生500円、中学生以下無料。事前予約が必要で、定員に達し次第締め切る。問い合わせは山崎会長(電090.7581.9794)へ。


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