<レスリング>「それだけの準備をしていれば、魔物はいない」…松本慎吾・男子グレコローマン強化委員長(日体大教)

 

 東京オリンピックの男子グレコローマンの監督を務める松本慎吾・同強化委員長(日体大教)が7月16日、オンラインで報道陣の取材に対応し、「オリンピックが開催されることに、強化委員長として感謝している。(出場する)2選手も、開催を感謝しつつマットに立ち、ベストパフォーマンスを発揮してほしい。応援してくれる人に感動を与え、勇気を持ってもらいたいと思っている」と話した。

文田健一郎(ミキハウス=手前)らの練習を見守る松本慎吾・男子グレコローマン強化委員長=7月8日、日体大

 男子グレコローマンで出場するのは、60kg級の文田健一郎(ミキハウス)と77kg級の屋比久翔平(ALSOK)。全6階級で選手を送ることが目標だったが、それはかなわなかったため、その分、2選手への期待は大きい様子。

 2人とも順調に仕上がっていて、いい流れで練習に取り組めているとのことで、「けがと体調に気をつけて準備していくこと」がこれからの最重要課題。

 文田はポーランド国際大会に出場して最後の実戦練習する予定だったが、ワクチン接種で微熱が出て体調を崩したため直前に回避した。約1年5ヶ月、外国選手相手の実戦なしに臨むことに、多少の不安はあるものの、「国内で強化できたことがプラスと感じるほど順調。出場選手の分析もしっかりできている」と言う。

 目標は金メダル。それは、指導者としての同委員長の目標でもある。「残された期間の準備次第で、必ず達成できる」と話した。

 屋比久は、今年4月にオリンピック出場が決まり、「今度は、どうメダルを取るかに切り変え、ギアを上げてきた」と言う。文田と違って最後まで海外の選手と試合ができたことで、「プラスがある」と見ている。強豪ぞろいの階級だが、「メダルに手が届く範囲にはいる。それには強豪を1人、2人と破ることが必要。その可能性を高めるよう準備していきたい」と言う。

 2019年9月の世界選手権のあと、代表に決まった文田と、代表権を取りに行く屋比久ほかの選手とでは立ち位置が違い、強化は難しい面があったと言う。しかし、ともに集中力を切らさず、「やることをしっかりやってきてくれた」と振り返った。

 「魔物が棲(す)む」とも言われるオリンピックだが、選手として2度、コーチとして2度参加した経験として、「それだけの準備をしていれば、そんなことはない」ときっぱり。「一番いい状態にして送り出したい。(2人は)自分らしい試合をすることを心掛けてほしい。」と期待した。

 

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