人工芝のメリット

 国内の野球場で初めて人工芝が敷設されたのは1976年、東京の後楽園球場。当時は「やけどしやすい」「足腰への負担が大きい」と敬遠もされたが、クッション性や温度上昇対策などの改良を重ねた現在、各地で人工芝のグラウンドは増加している▲プロ野球12球団の本拠地で天然芝は3球場。天然がいいのは当然だが、実際に立ってみると、天然かと思えるほどの人工芝もある▲普及しているのはプロだけではない。高校、大学の強豪サッカー、ラグビー部などの多くは専用の人工芝グラウンドを持っている。土と比べてけがが減り、常に公式戦に近い状態で練習できるメリットは大きい▲先日、諫早市の創成館高が運動場の人工芝改修を発表した。ピッチ1面分を確保できる事例は県内初で、中庭と合わせた総工費は約1億円。部活動や体育の授業のほか、地域の幼稚園や高齢者などの各種イベントにも活用してもらう方針だ▲奥田修史校長は言う。「屋外活動が推奨される中、少しでも快適にと考えた。地域活性化のためにも広く使ってほしい」▲この話を聞いた際、もし県内の小、中、高校すべてが人工芝だったらと想像してみた。競技力の面に限らず、地域住民が気持ち良く体を動かせる場が増えるだろうなと。一考の余地があるような気がしている。(城)

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