【名古屋場所】大横綱の道筋見えた! 照ノ富士〝長期政権〟に担当医が太鼓判

「第73代横綱」へ

短命横綱では終わらない! 大相撲名古屋場所千秋楽(18日、愛知県体育館)、大関照ノ富士(29=伊勢ヶ浜)は横綱白鵬(36=宮城野)に小手投げで敗れ、14勝1敗で15日間を終えた。すでに横綱昇進は確実にしており、21日の臨時理事会を経て「第73代横綱照ノ富士」が正式に誕生する。その照ノ富士は両ヒザに〝爆弾〟を抱える身だが、元担当医は「3、4年は大丈夫」と太鼓判。ここから長期政権で大横綱になる道筋も見えている。

照ノ富士は白鵬との全勝対決に敗れ、〝角聖〟双葉山以来84年ぶりとなる3場所連続Vでの横綱昇進はならなかった。取組後は「今の自分にできることだけやりました。自分が弱かっただけ。この悔しさを来場所につなげたい」と悔しさをにじませた。それでも、横綱昇進を諮る臨時理事会が開催される一報を伝え聞くと「これから頑張りたい」とホッとした表情。今後は19日の横綱審議委員会、21日の秋場所編成会議と理事会を経て「第73代横綱照ノ富士」が正式に誕生する。

2017年初場所後の稀勢の里(現荒磯親方)以来4年ぶりとなる横綱誕生に期待が高まる一方で、照ノ富士には常に両ヒザの不安が付きまとう。一時は大関から序二段まで番付を落としたのも、両ヒザの故障が主な要因だった。今後、大関以上に好成績が求められる横綱を無事に勤め上げることができるのか。

照ノ富士の治療やサポートにあたった経験がある整形外科医の中川照彦氏(67=同愛記念病院副院長)は両ヒザの現状について「(15日間を通して)順調でしたよね。前に出る相撲で、いくら引っかき回されても下半身がどっしりしていました」と指摘。今場所前は十分な稽古ができなかったことにも「四股、テッポウといった基礎運動を入念にやって調整してきたということでしょう。(ヒザの状態は)ひねったりしていないようですし、問題はなさそうです」と分析した。

かねて中川氏は、ヒザ周りの筋肉強化やパワー一辺倒の相撲から〝技巧派〟へ脱皮したことで、ヒザの負担は軽減されているとみている。それだけに、この先の〝横綱寿命〟については「半年や1年? そんなことはないでしょう。彼は現在29歳。(横綱に)3年、4年在位しても32、33歳ですからね。それぐらいは大丈夫だと思います」と太鼓判を押した。

今回は優勝を阻まれたとはいえ、白鵬は現役の晩年に差し掛かっている。他の大関陣に目を向ければ、朝乃山(27=高砂)は新型コロナウイルス対策の規則違反で出場停止。大関からの陥落が決まっている。貴景勝(24=常盤山)は首を負傷して途中休場し、正代(29=時津風)は勝ち越しが精一杯…。来場所以降で優勝の量産態勢に入れば、大横綱の証しとも言える優勝20回も夢ではない。照ノ富士自身は「いつやめてもおかしくない覚悟で相撲を取っている」と話しているが、今後の努力次第では長期政権も夢ではなさそうだ。

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