【中京記念】アンドラステ重賞初V 勝敗を分けた鞍上・川田の“判断”

川田の好リードに導かれて重賞初Vを決めたアンドラステ

18日、小倉競馬場で行われたサマーマイルシリーズ第2戦のGⅢ第69回中京記念(3歳以上、芝1800メートル)は道中インの4番手を追走した1番人気アンドラステ(牝5・中内田)が直線入り口で先頭に並びかけてそのまま押し切り重賞初V。これで川田&中内田厩舎のJRA重賞制覇は通算17勝目と相性の良さを存分に発揮した。勝負を分けた4角手前での鞍上の動きを振り返りつつ、同馬の今後の可能性を探ってみたい。

「とてもいいリズムで道中を走れて(4角手前の)前の馬の並びを見てどのタイミングで行こうかと思っていましたが、内へ行くほうがベターと思って早めに先頭に立って押し切る競馬を選択しました」

殊勲の川田が涼しい顔で振り返ったこのレースのキモ=勝負どころの場面を振り返ろう。逃げたディアンドルは進路を外へ向けつつあり、2番手にいたロータスランドの手応えはやや劣勢。そして後方から外を早めにマクって行った2番人気ボッケリーニの反応は微妙だった。

これらライバルの動きを川田は瞬時に察知。インの4番手から内をさばいて上がって行くと直線入り口では早くも先頭のディアンドルに並びかけた。コースロスを最小限にとどめ、他馬の動きに合わせて内を突く好プレー。3週目とあって内が少し荒れて徐々に外が伸びる馬場へ変貌していたことも見抜いて、最後は馬場のいいところを選んで走らせゴールまで持たせた。さすがは川田。このとっさの判断が勝敗を分けたと言っても過言ではない。

「ジョッキーがうまく乗ってくれました。道中の運びが最後の差につながったと思います。これまで故障があって休養が長くなることもあったけど、もともと期待していた馬で勝ち切ることができたのは良かった。今後は馬の様子を見て決めたい」と中内田調教師。牝馬として99年エリモエクセル以来22年ぶりの制覇の功績は、鞍上の手綱さばきにあったと強調した。

これでサマーマイルシリーズ(9・12京成杯AHまで全4戦)の中間順位=1位タイ(ロータスランドと並ぶ10点)となったアンドラステ。チャンプを狙える位置につけたが、トレーナーは次走に関しては明言を避けた。

ただし、「もうちょっと良くなると思いますし、いい夏を過ごしてくれれば」と川田が話したようにまだまだ伸びシロは十分。今回の勝利は鞍上の技量によるところが大きかったが、今後のレース選択に関しては数々のタイトルを獲得している中内田師が馬の成長や適性を見抜いた戦略でしっかりと練ってくるだろう。飛躍の秋へ向けて川田&中内田師の名タッグが繰り出す次の一手が見ものだ。

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