「終盤勝負」大崎に軍配 エース坂本、投打で活躍 第103回全国高校野球長崎大会 第12日

【準決勝、大崎―海星】海星に競り勝ち、仲間と喜び合う大崎のエース坂本(中央)ら=県営ビッグNスタジアム

 両校ともにほぼ完璧な守備を披露して、0-0のまま終盤までもつれた好ゲーム。緊迫の攻防に何度拍手が湧いただろうか。「こういう試合ってピッチャーが決めるものだから」。そう清水監督が振り返った通りに、主役になったのは大崎のエース坂本だった。自らのバットで均衡を破って守り抜き、春夏甲子園へ王手をかけた。
 初対戦の強打の海星にも「自信があった」。同じ日野中出身の捕手調とテンポ良くサインを交換し、次々に投げた。投手はプレー中に唯一、自分のタイミングで動きだせる大黒柱。走者を背負っても慌てず、逆に高度な直球とカットボールのコンビネーションを見せた。七回1死二塁からの2者連続など、ここぞの奪三振は見事だった。
 味方打線は七回まで二塁を踏めずに沈黙。それでも八回、1死から四球後、池田が「(相手守備を)左右にふることを徹底してきた」というエンドランで、併殺シフトの遊撃手を三遊間へ動かして内野安打。好機を託された続く坂本が「ピッチャーの気持ち的に真っすぐで押したいかな」と初球の外角直球を右翼線へ運んで2点を奪った。
 九回に大逆転勝ちした3回戦の創成館に続き、近年の長崎で特に存在感を示す強豪とのハイレベルな試合をまたも制したチーム。過疎化が進む地域と一緒に掲げる悲願、夏の夢切符獲得まで、あと1勝に迫った。
 最後の相手は前哨戦のNHK杯準決勝で、昨季から続いていた県内主要公式戦の連勝記録を止められた長崎商。「あとは気持ちの勝負。そこで負けないだけ」。背番号1の淡々とした口調に自信がみなぎっていた。


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