【アイビスSD】新潟直千“金”法則 3歳牝馬オールアットワンスが格上挑戦でV

目標とするライオンボスをゴール前きっちり差し切ったオールアットワンス(ゼッケン14)

【アイビスSD】新潟直千“金”法則 3歳牝馬オールアットワンスが格上挑戦でV

25日、新潟競馬場の直線芝コース(1000メートル)で行われた名物レース・GⅢアイビスSDは当コース初参戦、かつ格上挑戦ながら1番人気に支持されたオールアットワンス(牝3・中舘)が54秒2で快勝。過去に勝利した3歳牝馬同様に“アドバンテージ”をフルに生かし、古馬初対決で重賞初制覇を達成した。

戦前の争点のひとつが馬場状態だった。例年より春開催の日数が増えたために酷使された芝がどれだけ回復しているのか? フタを開けてみれば…コースレコードが3回もマークされたように芝の張り替えが功を奏し“高速ターフ”がよみがえっていた。となると“外枠有利”が定説の直線1000メートル決戦にも傾向に変化が生じてもおかしくなかったが…。最内1枠1番からバカラクイーンのみが内ラチ沿いを“独走”し、場内を沸かせたが0秒3差3着が精一杯。結局、今年もセオリー通りに馬場の外めを通った組同士の決着となった。

当コース4勝、このアイビスSDは前2年1、2着と現役最強の直千巧者であるライオンボスは最も信頼に足る物差しといえる。その千直マイスターに真っ向勝負を挑み、3/4馬身差2着に下したオールアットワンスの勝利にフロック感はない。

7枠14番から好発を決めると鞍上・石川は「彼女のスピードに任せ」て4番手のポジションを確保。6枠12番から外ラチ沿いへ寄せてきたライオンボスを右前方の視界に捉えつつ、追い出しのタイミングを選べる絶好位でレースを運んだ。

「完璧でしたね。ライオンボスの直後には入らず、しっかりと自分の進路は確保してほしいとだけ伝えていました」とは中舘調教師。騎手時代には当コースで25勝(トップタイ)をマークした“名手”も絶賛する石川の手綱さばきに導かれ、直線コースを疾走した先には重賞初タイトルが待っていた。

「強い牡馬を下したように持ち前のスピードは確かですね。オリンピックは無観客で行われていますが、お客さんの前で素晴らしい金メダルです」と石川はパートナーをたたえた。

一方で、勝利の背後には“法則”とも呼べる条件が揃っていた点は見逃せない。05年テイエムチュラサン、06年サチノスイーティーはオールアットワンスと同じく3歳牝馬、かつ格上挑戦で勝利。いずれも51キロでの出走だった。

「枠も良かったですし、51キロの斤量が味方をしてくれましたね。それに何より状態が素晴らしかった。すべてがかみ合っての勝利だと思います」と石川もしっかりと勝因の分析はできている。「今までのように調教を加減せず、強めに攻めることができていました。ふっくらした状態で厩舎に戻してくれた牧場に感謝しています」と中舘調教師は春当時より強靱さを増したフィジカル(プラス8キロ)に胸を張る。今後はサマーシリーズは転戦せず夏場は休養に充て秋の復帰が濃厚となる。コーナーのある千二、かつメンバーも強化される復帰戦でも結果を出せばスプリント路線の中心軸へと躍進も期待できる。

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