【トレンド】「かぜ」の経験率がコロナ前と比べて4割以下に/インテージ調査

【2021.07.27配信】インテージヘルスケアの調査によると、「かぜ」の経験率に関して、新型コロナウイルス感染症拡大の影響がなかった2019年と最新の2021年の調査結果を比較した結果、4割以下になっていることがわかったという。20〜40歳代の現役層で大きく減少していた。

「かぜ」の経験率が2019年45.5%から、2021年は16.4%に

インテージヘルスケア(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:仁司与志矢氏)は、京浜・京阪神の16〜79歳の男女2563人を対象に、「健康」に関する意識と実態の把握を目的とした自主企画調査「生活健康基礎調査 2021(第31回)」を実施した。
その中で、最近1年間に経験した「かぜ」やその他の関連症状に関する実態について分析している。

同調査の過去の結果では、「かぜ」を経験した割合は2015年以降、緩やかな減少傾向にあったが、新型コロナウイルス感染症拡大以降は大幅に減少した。

2019年の45.5%から2021年は16.4%まで下がり、29.1 ポイント減少、2019年の経験率を100とすると36.0%となっている。

「かぜ」の他にも関連症状である「せき・たん」「喉の痛み」「悪寒・発熱」「鼻づまり・ 鼻水」の経験率が軒並み減少

新型コロナウイルス感染症拡大の影響がなかった2019年と最新の2021年の調査結果を比較すると、「かぜ」の他にも関連症状である「せき・たん」「喉の痛み」「悪寒・発熱」「鼻づまり・鼻水」の経験率が軒並み減少しており、これらは本調査で聴取している症状66 項目の中でも減少幅が大きい上位の5 症状となっている。

そして、同社の市販薬販売動向調査のデータ(インテージ SRI+)では、市販薬で最も販売金額が減った総合感冒薬が2020年度(4〜3月)は前年比64.5%(金額前年差マイナス363億円)、その他の関連薬でも鎮咳去痰剤が同67.1%、口腔用薬(のどスプレータイプなど)が同80.7%などといずれも大幅に減少していることからも、「かぜ」をひく人が減って関連薬市場が縮小したことが明らかになった。

特に 20~40 歳代の現役層において、「かぜ」の経験率が低下

「かぜ」の経験率は例年、男性の30、40歳代、女性の20、30歳代において高い傾向にある。

2019 年と2021年を性年代別に比較すると、男性40歳代で57.2%から21.1%、女性30歳代で65.7%から27.6%と、これら経験率の高い年代における減少幅がひときわ大きい結果となっている。

将来的な市販薬購入以降は高い

同社では、「『かぜ』の経験率の低下は、新型コロナウイルス感染症の予防対策としてマスクの着用や手洗 い、手指の消毒、うがいなどの習慣が定着したことが大きな要因と考えられる」と分析。

年代別に見ると、男女ともに 20 歳代から 40 歳代での低下が顕著で、これらの子育て世代が子どもから感染するという機会が減ったことも一因と考えられるとした。

「かぜ」の経験率は、過去10年間のトレンドで見ても減少傾向が続いており、さらに新型コロナウイルス感染症の拡大によって感染症の予防対策が習慣化したことなどから、将来的に増加傾向に転じることは考えにくく、かぜ関連薬市場は引き続き厳しい状況となる見通しとする。

一方で、かぜ薬に限らず何らかの市販薬を購入することがあると回答した人のうち、20.8%が 今後市販薬の購入金額が増えるとしている。
このことからも市販薬市場全体としては伸びる余地が十分にありそうだと指摘する。

「新型コロナウイルス感染症の拡大により人々の生活習慣が変化する中、期待される市販薬の役割の変化にも注目が必要」とした。

<調査:コンシューマーヘルスケア・ソリューション部 棚倉 佑典氏>

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