尾身会長「首相のリスクコミュニケーション不足」 参院委で政府対応促す

 政府の新型コロナウイルス対策分科会の尾身茂会長は29日の参院内閣委員会の閉会中審査で、菅義偉首相(衆院神奈川2区)の危機管理を巡り、「リスクコミュニケーションが不足している。国民から協力を得るための工夫が必要だ」と指摘した。

 立憲民主党の杉尾秀哉氏の「菅総理には危機感がまるでない」との批判に、「関係大臣などとの毎日の意見交換で政府内では危機感は共有されている」と反論。だが、「国民へメッセージがなかなか伝わらない。伝え方や内容などをしっかり立てていくべきだ」と政府の対応を促した。

 リスクコミュニケーションは危機に対処するための意思疎通や合意形成を指す。コロナ禍以前の震災など自然災害への対応でも論議され、為政者と市民をつなぐために「意思決定プロセスの透明化」「判断基準の明確化と事前公表」などが必要条件とされる。

 尾身氏の意見を踏まえ杉尾氏は「『感染者数より重症者数のほうが重要』など後付けの理屈で国民は納得しない」などと指摘。共産党の田村智子氏は「コロナ対策の関係閣僚会議の内容が国民へも国会へも完全には説明されていない」などとリスクコミュニケーションの視点から批判した。

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