じわじわ感染増加…コロナデルタ株に漢方で立ち向かう中国

習近平国家主席(ロイター)

新型コロナウイルスの感染をほぼ抑え込んできた中国で、再び感染が拡大し始めた。多くはインド由来の変異株「デルタ株」とみられる。感染者数はまだ比較的少ないが、警戒が高まっている。

デルタ株は最悪だ。米疾病対策センター(CDC)のワレンスキ所長によると、「これまで知られた中で最も感染力の強いウイルスの一つ」で、感染者1人が他の8~9人程度に広める恐れがある。CDCは既に、米東部マサチューセッツ州の町で起きた集団感染で、感染者の74%がワクチン接種完了者だったとの報告書を公表。デルタ株が多いというから、ワクチンの“防御無効”と言えるほど感染力の強さはすさまじい。ただし、ワクチンで重症化や死亡のリスクを10分の1以下に減らせるという話もある。

中国では16億回のワクチン接種が完了しているが、デルタ株の感染拡大に歯止めがかからず、各地でクラスターが確認されている。

しかし、さすが“4000年の歴史”を持つ中国では、漢方薬で対抗しようとしている。中国人ジャーナリストの周来友氏はこう語る。

「漢方薬を世界に広めることを目的に中国で組織された『世界中医薬学会連合会』が先日、フォーラムを開催し、デルタ株に対し、西洋医学と漢方医学の組み合わせによって最大の効果を目指すことが話し合われました」

中国メディアによると、すでにコロナ感染時や感染予防のために漢方薬の使用を行っているという。

周氏は「漢方薬は身体の抵抗力強化やコロナ患者の体内からウイルスを排除することに効果があるとされています。中国政府も今後、世界各国に向けて、漢方薬を使ったコロナ対策の方法伝授、専門家の派遣、漢方薬の輸出などを行う方針です」と言う。

中国に次ぐ漢方大国の日本でも、北里大学の研究チームが今秋から、自宅療養者に対し、葛根湯に含まれる生薬「麻黄」を使い、ウイルスの増殖抑制の治験を行うことを発表している。

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