米国の視聴者数激減で五輪離れ顕著 背景に根強い人種問題も

アメリカでは深刻な“五輪離れ”が…

米国における東京五輪の視聴者数が激減し、若者を中心として深刻な〝五輪離れ〟が浮き彫りになった。

米放送局「FOX」は東京五輪の視聴者数データを特集。「(中継局の)NBCは、前半8日間で2016年大会と比較して視聴者を48%減らした」と視聴者数が激減していると報じた。

東京五輪の米国における前半戦のプライムタイムでの平均視聴者数は1450万人で、全開リオデジャネイロ五輪か48%、2012年ロンドン五輪から58%と急減していることが判明。特に深刻なのが若年層の視聴者数で、リオ五輪との比較で12~17歳で67%、18~34歳で63%とそれぞれ急角度で右肩下がりを記録した。

米国のテレビディレクターのブライアン・スタインバーグ氏は「この減少の大きさは、スポーツの祭典に巨額な投資をした広告主を不安にさせている」と指摘。将来的に、五輪を支えるスポンサー集めにも大きな影響が出てきそうだ。

また、米国での視聴者数が顕著な理由は、特殊な事情も絡んでいる。

FOXの今回の報道に寄せられた米国民からの声には「私は五輪を1分も見ていない。私はひざまずく反米の選手たちを見ることを拒否する」「愛国心とその歴史により、人々はアスリートを見て応援するようになる。しかしアスリートが自国を侮辱する場合、視聴者数は逆の傾向になるだろう」との意見が。米国でBLM運動など黒人に対する人種差別抗議運動が広がっており、国際オリンピック委員会(IOC)が今大会で一部の政治的表現を認めたため、膝つきなどのパフォーマンスが実施されている。しかし米国では白人を中心にこうした運動への反感も根強くあり、人種差別問題を持ち込んだ東京五輪を敬遠する動きにつながっているとの指摘だ。

複雑な事情が絡み合い、スポーツ超大国の米国で五輪離れが進んでいるようだ。

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