64年東京に咲いた“五輪の名花” 21歳チャスラフスカ

東京五輪で大活躍

【今週の秘蔵フォト】世界各国の美女が連日、熱い戦いを彩っている。1964年東京五輪きっての人気者は、女子体操のベラ・チャスラフスカ(チェコスロバキア)だった。「五輪の名花」と呼ばれた絶世の美女で、市川崑監督の映画「東京オリンピック」の、真っ赤なコスチュームで演技するチャスラフスカの姿に、特殊撮影処理を施した美しく鮮やかな映像が長く記憶に残る。

チャスラフスカは女子体操の個人総合、跳馬、平均台で3つの金メダルを獲得。メキシコ五輪でも金4、銀2と圧倒的な強さを見せた。美しさと華麗さと気品に満ちた選手で、当時の本紙は「華麗、深紅の名花」の見出しでその素顔を紹介している。「まだ21歳という若さのせいか、快活で人との応対にも悪びれず社交的である。深紅のユニホームは、はちきれんばかりの若さを現すチャスラフスカの体を燃やす。まさに彼女にぴったりだ」

滞日中は浴衣や日本の民芸品などをファンや関係者からプレゼントされ、親日家としても知られた。メキシコ五輪時には母国の変革運動「プラハの春」の影響で弾圧を受けるなど不遇な時期もあったが、2010年には日本の外国人叙勲で「旭日中綬章」を受章している。16年に74歳で亡くなった。

現在、57年前の写真を見てもまるで芸術品のように美しい。まさに五輪に咲いた「名花」だった。

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