被爆クスノキ「樹勢良好」 長崎市の27本 樹木医が調査

被爆クスノキの状態を確認する樹木医ら=長崎市、山王神社

 長崎県長崎市は6日、原爆の熱線や爆風を受けた「被爆樹木」の生育状態を確認する本年度の調査を終えた。先月中旬から市内の計27本を調べ、最終日の6日は樹木医3人が山王神社(坂本2丁目)にある被爆クスノキ2本を診察。推定の樹齢は600年ほどで原爆の傷は残るが、「葉の大きさや色は良く、2本とも樹勢は良好」という。
 市が日本樹木医会県支部の協力を得て、2017年度から毎年実施する「被爆樹木パトロール」。爆心地から3キロ以内にある27本を調べたところ、2本は葉の色の薄さや数の少なさなどから「樹勢が弱くなっている」と診断した。治療が必要か検討し、所有者と対応を相談する。
 山王神社では、樹木医の久保田健一さん(54)らが幹の周りを歩き、目視や触診で葉や幹の状態を確認した。今後も定期的に、台風の風をまともに受けないよう枝を剪定(せんてい)したり、幹の裂けた部分などに薬剤を塗ったりしていくという。調査を見守った舩本勝之助宮司(79)は「(樹勢が良いと聞き)ほっとしている。1日でも2日でも長生きして原爆の生き証人としての役割を果たしてほしい」と願った。

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