「現代アートの島」で作品が台風被害 草間彌生氏の水玉模様になぜ人間は〝刺激〟を受けるのか

草間彌生氏

四国、中国地方を襲った台風9号が、日本を代表するアーティストの作品にも大きな被害を及ぼしていた。

アクシデントに遭ったのは、瀬戸内海に浮かぶ香川県の直島の野外に設置されていた草間彌生さんのオブジェ「南瓜」。9日、同台風に伴う強風で飛ばされ、海に投げ出されて大きく破損するアクシデントがあった。

水玉模様の作風で知られる草間さんは世界的な芸術家。南瓜を所有するベネッセホールディングスが明らかにしたところによると、同作品は黄色いカボチャの形をした強化プラスチック製で高さ2メートル、幅2・5メートル。黒い水玉模様で彩られている。突堤の先端部分に1994年に設置された。

台風に直撃された直島は人口3200人ほどの小さな島だが、野外のいたるところにアート作品が展示してあるため、〝現代アートの島〟と呼ばれている。草間さんの「南瓜(通称・黄かぼちゃ)」と「赤かぼちゃ」は島のシンボルとなっている。赤かぼちゃはフェリーが発着する港に設置されており、真っ先に目に飛び込んでくる作品だ。

一方で、「トライポフォビア」の人にとっては、草間さんの作品は恐怖だ。集合体恐怖症とも訳され、蜂の巣やレンコンの断面、鳥肌、ハスの実など小さなブツブツや穴の集合体に対する恐怖症であり、成人の1割強がトライポフォビアとされる。

なぜ、ブツブツに恐怖するのか。ある精神科医は「高所恐怖症や閉所恐怖症のように誰もが抱える可能性のある症状ですが、日常生活が困難になるほど重症化する人もいます。天然痘やはしかなどの病気の回避や、毒きのこなど毒を持つ生物を避けるという本能に基づくものとされています」と言う。

草間さんの南瓜を凝視するとゾワッとする人もいるだろう。

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