ドミニカ球界初のメダル獲得で株急騰の巨人メルセデス メジャー流出の心配は?

母国ドミニカの銅メダル獲得に大貢献したメルセデス

東京五輪で巨人のC・C・メルセデス投手(27)がドミニカ共和国に野球初となる銅メダルをもたらした。リーグV3に向け10日、チーム練習に合流したブロンズメダル左腕は、後半戦スタートから先発ローテ入り。五輪での快投により海外評価も上がっているが、巨人サイドは余裕の表情。実はすでに手を打っていたという。

メジャー勢不在の代表エースとして、メルセデスは先発2試合、中継ぎ1試合とフル回転。休むことなく後半戦開幕カード中日戦(13~15日、東京ドーム)での先発が見込まれる。

「正直今でも本当かなと。うれしい気持ちでいっぱいです」と白い歯を見せた左腕は「ドミニカの歴史にとっても非常に大きい。ドミニカの国全体が喜んで祝福してくれていると思います。本当にうれしくて、本当にワクワクして、何とも言えない素晴らしい経験ができました」と夢舞台を振り返った。

メルセデスは日本戦(7月28日、福島)で7回途中1失点と好投すると、3日のイスラエル戦(横浜)でも先発。さらに7日の韓国との3位決定戦(横浜)では5回途中から救援し、9回まで無失点に抑えて勝利投手となった。

原辰徳監督も「頑張ったねえ…。一番頑張ったんじゃない? イニング数も一番投げたんじゃない? 疲れたとは言わせないよ」と絶賛の働きだった。

この活躍でメルセデスの評価はうなぎ上り。「全勝で金メダルを獲得した日本を相手に6回まで0点に抑えた。7回に連打を浴びて降板したけど、スタミナがあるうちは手がつけられない。十分にメジャーで通用する」(ア・リーグ球団スカウト)

今季は6戦に登板し、5勝1敗、防御率2・31と安定している。来日3年目の2019年には8勝(8敗)をマーク。日米争奪戦となれば、今季推定年俸4000万円は大きく跳ねあがる。

そんな喧騒にも巨人関係者は「C・Cは初めての代表入りで気合が入っていた。まだ若いし、国際大会でいろんな経験をしてどんどん成長してほしかったので、本当に良かった」と余裕の表情。関係者の話を総合すると、メルセデスは来季まで巨人側に契約のオプションがあり、すでに〝流出阻止〟への対策は万全だった様子だ。

一方、17年に育成選手として入団したメルセデスにとっては育ててもらった恩がある。逆転V3と日本一に向けて左腕は「いいコンディションを維持して、いい投球をしてチームの勝利に貢献するというのは変わっていない」とキッパリ。メダルの勢いそのままにメルセデスのエンジンが全開となりそうだ。

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