過酷な戦地から父の手紙 諫早出身の軍医・大塚さんの思い 174点展示

父親が残した手紙について来場者に説明する大塚さん(左)=諫早市美術・歴史館

 ニューギニアで戦死した長崎県諫早市出身の陸軍軍医が、戦地から家族に宛てた手紙やはがき174点を紹介した企画展「追憶-戦地からの手紙-」が、市美術・歴史館(東小路町)で開かれている。軍医の目で見た戦地や戦友の様子、家族を思う父親の愛情、望郷の念が文章やスケッチでつづられ、戦争の悲惨さを今に伝えている。22日まで(火曜日休館)。観覧無料。
 送り主は大塚格(いたる)さん。1939年11月に入営し、中国を経て44年12月22日、ニューギニアで戦死した。37歳だった。長男梓さん(84)=小豆崎町=が昨年春、自宅で母綾子さんの遺品を整理中、計386点を保存したアルバムなどを発見し、市に寄贈した。
 作戦に勝利し帰還する列車内をスケッチした現在の中国山西省からの手紙は、日に焼け、ひげが伸び、疲れ果てて眠る日本兵の様子を伝えている。ニューギニアからのはがきでは、マラリアやデング熱を媒介する蚊について米軍の戦闘機よりも「油断のならない」と警戒するなど、戦地の過酷な環境をつづっている。このほか、ニューギニアの海辺に座り、帰りの航路に就こうとしている1隻の船を見て故郷に思いをはせたはがき、家族を優しく思いやる手紙などが展示されている。
 梓さんは「私の父がいかに家庭を愛していたかをくみ取り、その手紙を通して戦争がいかに悲惨なものか感じてもらえたらと思う。多くの人に見てもらうことが父親の供養になる」と話した。

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