「平和って?」長崎県民ら126人が回答 被爆者「私の体験、繰り返さないで」 ナガサキポスト原爆・平和アンケート①

長崎新聞社は8月9日の「長崎原爆の日」に合わせ、本紙情報窓口「ナガサキポスト」のLINEを活用して原爆や平和に関するアンケートを実施した。県内外の126人が回答した。初回のテーマは「あなたにとっての平和とは」。

■平和=家族との何げない日常

家族らとの何げない日常を挙げる人が多く、長崎市の80代男性被爆者からは「私が体験したことを繰り返さないこと」と切実な願いが寄せられた。五島市の10代以下の女子学生は「世界の紛争や争いが一つでも、一日も早くなくなりますように」とつづった。

平和な「時間」「場所」「できごと」を尋ねたところ、子どもたちや家族らと過ごしたり、趣味に夢中になったりしている時間、普段のひとときを挙げる人がほとんどだった。

■自分の平和守るために…

それを守るために、「どのようなことをしたいか」を質問すると、平戸市の60代自営業男性は「できるだけ多くの人たちと、平和とは何か話し合える機会を持つ」、大村市の30代パート女性も「戦争を知らない世代だが、次世代のために学び伝えたい」と決意。

若い世代からは「募金」(長崎市・10代以下、女子学生)、「高校生平和大使になりたい」(雲仙市・10代以下、女子学生)との意見もあった。

■「真の平和、現代にない」

 一方、「戦争はどちらも自分の正義のためにあるので、お互い自分の家族を守るために戦いに行くのだと思う」(南島原市・50代主婦)、「真の平和な時間や場所は現代にはないのではないか」(北松佐々町・60代男性会社員)との指摘もあった。

■長崎、広島と温度差「全国に原爆資料館を」

「あなたの『平和への願い』」(記述式)では、今年1月に発効した核兵器禁止条約について、長崎市の30代自営業女性など複数から「まずは日本が批准を」と求める声が上がった。

長崎市の60代パート女性は「広島、長崎とそれ以外の地域での原爆に対する温度差が気になる」として、全国の図書館に原爆資料館を作ることを提案した。

■原爆や戦争「匂い、音、風圧を想像するしか」

同市の50代パート女性は「被爆者や戦争体験者が思い出したくない悲しいつらい記憶を、私たちに伝えてくれることが、どんなにつらいことか想像してほしい」と、体験を聞く側の自覚と心構えを呼び掛ける。

その上で「怖いから聞きたくない、ではなく、怖いという気持ちが大切だと思う。私たちは、その時のにおい、音、風圧、景色全てを想像するしかできない。その全てを見て、感じた被爆者を思い、想像し、感じることが大切」と記した。

(後藤洋平)

◆◆◆
アンケートは7月24~31日にウェブ上で実施。質問は選択・記述式で計14問。10代以下~80代が回答し、50代が29%で最も多く、次いで40代19%、60代18%、30代16%など。県内のほか、熊本、東京、神奈川、和歌山などから回答があった。

© 株式会社長崎新聞社