【夏の甲子園】プロ注目157キロ右腕の明桜・風間 2回戦が早くも “大一番” となる理由

2失点完投でチームを2回戦に導いた明桜・風間

第103回全国高校野球選手権大会第3日が15日に甲子園球場で行われ、第1試合に最速157キロを誇るノースアジア大明桜・風間球打投手(3年)が登場。帯広農(北北海道)を相手に10奪三振2失点の完投で、チームを4―2の勝利に導いた。今秋ドラフト上位候補と目される右腕の実力を見定めようとプロスカウトも熱視線を送る中、系列大のコーチで、風間をよく知る本紙評論家・伊勢孝夫氏が見た「未完の大器」の実力とは――。

気迫のこもった140球目、146キロ真っすぐで最後の打者を一飛に打ち取ると安堵の表情を浮かべた。最速は3回ピンチの場面でマークした150キロ。大台を超えたのは、この1球のみだった。相手打線がストレート狙いの中で「これまであまり使わなかった」というフォークが効果的で、終盤にかけては「タイミングをずらす」意図で140キロ前後の真っすぐを投げ分ける器用さも見せた。

4回まで無安打に抑え、チームも5―0とリードしながら12日の試合が降雨ノーゲーム。そこから度重なる順延もあって、心身ともに準備が難しい中でチームを初戦突破に導く力投だった。それでも自己採点は「60点くらい」。冷静に「真っすぐを当てられるので、もっとキレのあるボールを投げたい」と明確な課題を挙げた。

今秋ドラフトでは上位指名が期待されている。秋田大会からプロスカウトが大挙して熱視線を送り、今大会が最終チェックの場。スカウト陣も前のめりに視察する中、プロの目にはどう映ったのか。

明桜の系列大学に当たるノースアジア大学(秋田)野球部でコーチを務め、風間のこともよく知る本紙評論家の伊勢氏は「本人の自己評価通りの内容。今日の投球では、プロは最終判断できなかったと思う」と語った。良くも悪くも真の姿ではなかったということだ。

風間は試合後「次は真っすぐで三振が取れて、ボール球を減らしたい」とも語っていたが、伊勢氏が指摘した改善点も同じで「真っすぐをコントロールよく放れないとプロでは難しい。それができて低めのフォークとスライダーが生きる。スカウト陣も、そこを見極めているはず」。肉体的にも技術的にも伸びしろは十分で、総合的な能力は高校生では「間違いなくトップクラス」(伊勢氏)。この試合で評価が上下したわけではなく、高評価の決定打を打てなかったという解釈だ。

その上で伊勢氏はこう強調した。「これで次の試合をプロはがぜん注目して見守る。全国トップクラスのチームを相手にどう戦うかが一つの試金石」。次戦の相手は、甲子園通算52勝を誇る馬淵監督率いる明徳義塾(高知)だ。伊勢氏は「風間の真贋をチェックする最終決断の場になる。10人いたら8人のスカウトはそう思っているはず」と言い切った。

プロも注目必至の「風間VS明徳」。今大会屈指の右腕が、文字通りの大一番に臨む。

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