原監督の〝圧〟をはねかえせるか? 巨人・戸郷が迎えた「分岐点」

指揮官は期待しているが…

進むのはエースか、二流への道か…。巨人・戸郷翔征投手(21)が過渡期を迎えている。15日の中日戦(東京ドーム)では快投しながら突如乱れて5回途中2失点で降板。原辰徳監督(63)は次期エース候補として大きな期待を抱くだけに、采配面だけでなく投げかける言葉も厳しさを増している。肝っ玉右腕はかつてない〝圧〟をハネ返せるのかが、今後を大きく左右しそうだ。

突然の乱調だった。戸郷は5回一死まで一人の走者も許さない完璧な投球。しかし、福留と高橋周の連続二塁打で1点を失うと3連続四死球を与えて2点目を献上し、勝利投手の権利までアウト2つで降板を命じられた。チームは4―2で勝利し、後半戦3連勝スタートとなったが、本人は「状態は良かっただけに申し訳ないです」と反省の弁を並べた。

高卒3年目の今季はかつてないほど大きな期待をかけられている。好調時の菅野と互角以上に渡り合える存在として開幕2戦目の先発を早々と託され、ここまで15試合で8勝4敗、防御率3・89の成績。ただ、首脳陣が理想とする活躍には届いておらず、中断期間中の調整ぶりに原監督は過去最大級の苦言を呈して奮起を促した。

「大事に大事に彼を育てながら来ているけどね。大事に育てることによってまったく荒々しさがなくなってきた。それと、対角線のボールの精度が非常に悪くなった。このままだと二流のピッチャーになっちゃうね」

エキシビションマッチに唯一登板した3日のソフトバンク戦(ペイペイ)で、戸郷は3回までに7失点。指揮官は本人に過度な重圧をかけないためにも、言いたいこともグッとこらえてきたが、後半戦を前にしたこの時ばかりは思いを一気にはき出した。同時に、戸郷を〝大人扱い〟した証しでもあった。

そして、この日の試合後は課題などに言及することなく「投球そのものはとても良かったと思います。ただ、こういうことは二度とないようにするでしょう」と語ったのみ。自分で課題を洗いだし、自力で克服することを求めた。

もちろん、戸郷にとっては、かつてないほどのプレッシャーに襲われるに違いない。ただ、この局面を乗り越えられるかが「エース道」と「二流投手」への一つの分岐点。何事にも動じない強心臓が持ち味でもある若き右腕は、次回登板でどんな投球をみせるのか。

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