「死活問題」「逆効果」の声も 緊急事態宣言 長崎県民反応 医療従事者「危機感を」

 新型コロナウイルス感染の急激な拡大を受け、長崎県が独自の緊急事態宣言を県内全域に出した19日、危機感を抱く医療従事者は、感染抑止につながるよう切に願った。一方、イベントや部活動の中止を求められた関係者らは「死活問題」「逆効果」と疑問視した。
 「意識が低い人の行動を変えるには、政府や自治体がメッセージを出し続けるしかないと思う」。感染者や政治家が大人数で会食していたとのニュースを何度か見た佐世保市の女性看護師(59)はこう嘆き、宣言の効果に期待を寄せる。とはいえ、県外との往来自粛が続く状況には「いつまで我慢しないといけないのか」とため息。昨春生まれた県外の初孫にはまだ一度も会えずにいるが、「命を守るためには仕方がない」と自らに言い聞かせる。
 新型コロナの患者を受け入れている病院で働く別の女性看護師は「感染しない、させないという緊張状態が1年半続き、みんな疲れ切っている」と職場の窮状を吐露。病床の逼迫(ひっぱく)を恐れ、県民に「危機感を持ってほしい」と訴えた。
 県の求めに応じ、イベントの中止が相次いでいる。プロ演奏家が所属する佐世保市の音楽事務所「リーブルミュージック」は、9月4日に市内で予定していた映画音楽コンサートを中止。浦崎健治社長(48)は「4月から準備し、ポスターなどで告知していたので大変残念。収入が得られないのはプロにとっては死活問題だ。それでも、くじけずに感染拡大が収まった後の公演に向け、できることを考えたい」と話した。
 県教委は19日、各県立学校長に部活の中止を通知。全国大会やその県予選などに限り、大会の3週間前からの練習を認めた。
 全国大会常連のチームを率いる県立高校の監督は「ずっと我慢してやっている。これじゃ再開したとき、逆にけがをしかねない。放課後、外に出回ったり、校外で自主トレしたりする方が感染リスクがあるはず。部活をして真っすぐ家に帰るのが一番」と話す。
 別の県立高校の監督は「(県教委の要請で)練習試合ができなくなっている。この上、練習までできないなんて」と選手の気持ちを思いやった。

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