「時短に効果あるのか」 長崎県内 感染ステージ4に 飲食、宿泊の悲痛な声

「しばらくは我慢が続く」とため息をつくマスターの中村さん=6日午後8時半、五島市の「スナック安全地帯」

 新型コロナウイルスの感染が急拡大していることを受け、長崎県が県内全域の飲食店などに10日からの営業時間短縮要請を出すとした6日、関係業者からは悲痛な声が上がった。「要請に効果があるのか」「そろそろ割り切って飲食店を規制するのはやめては」-。県民限定の宿泊キャンペーン「ふるさとで“心呼吸”の旅」はいったん停止が決まり、宿泊事業者も肩を落とした。
 長崎市内の飲食店への時短要請解除から約2カ月。今回は県内全域への要請だけに影響の大きさは計り知れない。県内外に16店舗を持つファミリーレストラン「牛右衛門」(佐世保市)の中村大介社長(51)は、要請に応じるか否かの方向性について10日までに決める方針。「これまで自粛要請に応じてきた。しかし今回ばかりは分からない。もはや時短要請にどれほどの効果があるのだろうか」と首をかしげた。
 平戸市木引田町の居酒屋「大徳利」の橋本武志代表(67)は「最近はワクチン接種の効果なのか客足が持ち直してきた感じだった。時短要請は本当に痛い」と嘆く。長崎市小江原4丁目の会社員、岩永悠さん(34)は「何度も時短が繰り返され、なじみの個人経営のバーなどは大変そう」。
 一方、五島市栄町の「スナック安全地帯」のマスター、中村康弘さん(70)は「店の経営は苦しいが、それより(医療体制が脆弱(ぜいじゃく)な)島で感染を広げないことが大事」と受け止める。
 1泊最大5千円の宿泊料金を割り引く県民限定の宿泊キャンペーンは7月1日に再開され、県は50万泊分の利用を予算化。4月15日以降、予約を含め計約15万6千泊の利用があった。
 5月に開業した長崎市野母町の宿泊施設「オーシャンリゾートNomon長崎」の中島みちる総支配人(48)は「感染防止と運営の両立は紙一重」とした上で「今後多くのキャンセルがでないか不安」と明かす。
 旅行が趣味の同市片淵1丁目の会社員、宮本健吾さん(42)は「感染者が急増する中、(キャンペーン停止は)判断として正しい」と冷静に話した。

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