横浜市長選の投票に行くときに知っておきたい!これからの横浜市政に関する6つの数字

8月22日に投開票日を迎える横浜市長選挙では、8名の候補者による熱戦が続いています。

カジノを含む統合型リゾート施設の是非や新型コロナウイルス感染症対策などを通じて、市政に興味を持たれた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

選挙戦では各候補者から様々な情報、数字が発信されています。これらの情報を読み解くきっかけになるべく、横浜市政において若者とかかわりのある数字をご紹介します。

1.「377.9万人」→横浜市の人口。

横浜市の人口は約377.9万人(2021年8月)となっており、市による長期的な推計(横浜市将来人口推計)では最も人口が多い時期にあたるとされています。これまで続いてきた人口増加という大きな方向性が緩やかな減少へと変わろうとする中、少子高齢化も進んでいます。

市民の内、65歳以上の方の割合は2000年に13.92%であったものが今年の3月時点で24.7%と市民のおよそ4人に1人が65歳以上の方となっています。同様に、14歳以下の子どもが占める割合は2000年13.85%から2021年11.9%へと低下しています。

なお、75歳以上の後期高齢者の方が占める割合も5年間で2%ずつ増加する傾向が続いており、2025年には15.6%と市民のおよそ6人に1人が75歳以上の方となることが推計されています。

2.「16人」→国基準での保育所待機児童数。一方で、希望する園を利用できないなどで保育施設を利用できない児童は 2,842人

働き手世代とされる15歳~64歳の市民は3月時点で238.2万人ほどですが、2040年には195.9万人と2割弱の減少が見込まれています。今後、働き手不足などの問題が顕在化することが想定されるなかで注目されるのが女性の活躍です。

女性が活躍できる環境を実現するために永らく課題となっているのが子育て支援です。

横浜市は2013年に保育所待機児童ゼロを実現し、その取り組みは「横浜方式」として全国的な注目を集めました。直近では、今年4月の時点で市内の保育所待機児童は16人であったことが市から発表されています。

なお、市内の保育所定員数は、2013年(4.9万人)を基準とすると2021年(7.2万人)には約1.5倍に増加しています。

図表1「横浜市における保育所待機児童」

一方で、保育所等の利用申込をした児童のうち、希望した特定の園に入れなかったなどの理由によって利用に至っていない児童が2,842人いることも報告されています。2013年に同様に保育所を利用できない児童は1,746人でしたので、8年間で1,000人以上増加してることになります。

3.「20.2%」→横浜市の給食「ハマ弁」の4月利用率

国勢調査(2015年)によると、横浜市の昼間の人口を夜の人口で割った昼夜間人口比率は91.7となります。これは20ある政令指定都市の中で3番目に低い数値です。

また、横浜市の男女共同参画行動計画によると、市内在住者の共働き世帯の割合も37.5%(2002年)から45.9%(2017年)へと上昇しており、多くの市民が市外に活躍の場を持っていることがわかります。

学校給食実施状況等調査(文部科学省)によると、2019年の公立中学校の完全給食実施割合は全国で93.2%でした。横浜市では今年から希望者が注文する「ハマ弁」が学校給食に位置付けられたことで利用率が20.2%となったことが報じられていますが、多くの生徒は家庭からお弁当を持参しています。

このような状況に、各候補者から現制度の維持も含む様々な提案がなされています。なかには、市が計画する芸術施設の建設を取りやめることで、過去、市が試算した給食センターの設置、運営にかかる費用を捻出することができるとの主張も見られます。

市内外を問わず活躍する市民が増える中で、親世代の活躍と子育て環境の充実を両立していくためにどのような取組みが必要となるのか、各候補者の見解が注目されます。

4.「6,500人」→2025年に見込まれる介護職員の不足人数

「介護離職」や「ヤングケアラー」などが取りざたされることがありますが、高齢化による影響も見込まれています。

過去、横浜市の資料において、神奈川県内の介護人材の約4割が横浜市内の介護事業者である旨が明らかにされています。

厚生労働省が7月に公表した第8期介護保険事業計画によると神奈川県では2025年に約1.6万人の介護人材の不足が見込まれています。先ほどの割合を当てはめると、横浜市では2025年に6千人強の介護職員の不足が見込まれます。

また、新型コロナウイルス感染症対策を通して医療環境に関心を持たれた方もいることと思います。

人口10万人当たりの医療施設に従事する医師数について、横浜市は2018年225.2人と政令指定都市20市のうちで5番目に少なくなっています。2008年183.1人は政令指定都市17市(当時)のうちで3番目に少ない人数でした。また、病床数についても人口10万人当たりの比較をすると政令市の中で3番目に少ない742床となっています。

図表2「横浜市における医師数及び病床数の推移」

5.「520億円」→市税収入の対前年減少金額。新型コロナウイルス感染症の影響などで有効求人倍率も悪化

新型コロナウイルス感染症は、医療だけでなく、経済にも影響を及ぼしています。

横浜市の市民経済計算によると、2018年度の横浜市の市内総生産(名目)は13兆8774億円であり、1つの市でありながら国内総生産の2.5%を占める規模となっていました。また、名目経済成長率も1.4%と4年連続のプラス成長となっていました。

しかしながら、市の経済においても新型コロナウイルス感染症の影響が生じています。

例えば、今年度の一般会計予算における市税収入の見込み額7,923億円は前年度と比較して520億円、割合にして6.1%程減少しています。また、有効求人倍率も2019年1.48倍、2020年1.13倍であったものが、2021年は3月以降1倍を下回る状況が続き、6月は0.86倍となっています。

このような状況下において、これからの4年間で横浜市が目指すべき方向性、取組はどの様なものがあるでしょうか。

6.「13.18%」→65歳以下の市民で新型コロナウイルス感染症のワクチンを2回接種した人はおよそ8人に1人

神奈川県の新規感染者数が「ステージ4(感染爆発)」に相当する等、新型コロナウイルス感染症への対策が注目されています。

横浜市では8月23日(月)から接種対象者のすべての年代でワクチン接種の予約ができるようになりますが、18日時点での接種率(2回目接種)は全年代(12歳以下の接種対象外も含む)で30.94%でした。若者向けの情報としてあえて65歳以下の接種率に限ると13.18%となります。神奈川県は全年代30.32%、65歳以下12.14%、全国は全年代32.73%、65歳以下12.45%です。(出所:政府CIOポータル、神奈川県「市町村別の全世代・64歳以下のワクチン接種実績・接種率」)

神奈川県や全国に比べると接種率は若干高い状況ですが、2回接種が完了している人は65歳以下の市民のおよそ8人に1人という状況です。新学期を迎えると若い世代で集団での活動を行う機会も増えてきます。多い日には1,000人を超える感染者が報告されるようになってきている中で、ワクチンも含んだ対策が注目されます。

横浜市長選挙は、新型コロナウイルス感染症に対応するための生活様式の変化に加えて、これまで増加傾向にあった人口が減少傾向に転じようとする大きな節目を迎えるタイミングで行われています。 そのような転換期の市長選挙であるからこそ、今後、他のどの世代の方よりも長く横浜市とかかわりを持つことになる若者世代が、ポストコロナの時代も見据えて横浜市の未来を「自分ごと」として考え、納得のいく1票を投じていくことが期待されます。

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