第８日第３試合では新田（愛媛）が日本航空（山梨）に一歩及ばず、３―５と惜敗した。
新田の先発・向井（２年）は５回までに４失点を許し、打線も相手先発のバデルナ（３年）に抑えられる苦しい展開。「お前が流れを変えてこい」。岡田監督は６回から主将で捕手、投手、４番の〝４刀流〟古和田（３年）をマウンドに送った。
大会初登板ながら力強い投球で三者凡退に切った古和田は、７回に気迫の打撃を見せる。
好投手バデルナの２球目ストレートを弾き返すと、打球がバデルナの腹部を直撃。「甘いボールを積極的に振った結果がああなった」。投手強襲安打で出塁した。苦悶のバデルナは何とか投球を続けるが、明らかに制球が乱れ、押し出し死球と犠飛、適時打で３点奪取。１点差に追い上げた。しかし、古和田は７回に追加点を許し、バデルナの粘りの前に涙を飲んだ。
「自分の仕事を果たすしかない。緩急をつけながらいい投球ができたと思う。（捕手としては）高めに浮いたストレートを狙われた。変化球を増やしたが、１球で仕留める打者が多かった」と日本航空の強打線に溜飲を下げた。
〝愛媛のジャイアン〟と呼ばれ、４役こなしてきたことには「プレッシャーもあったが力に変え、強気なプレーを常にやってきた。甲子園で１勝できたし、新しい歴史を作れた」と振り返った。
岡田監督も「毎朝の素振りなど、派手なプレーより地味なことを継続できる強さがある。いろんな役割を与えて大変だったと思うが、他の選手も躍動できた。新田の新たな歴史を作ってくれた」と古和田に感謝しきり。今後は捕手１本に絞り、プロか、大学進学かを考えていくという。
