マジョルカMF久保建英が「即活躍」で証明した大きな進化

久保建英

スペイン1部マジョルカのMF久保建英(20)が新天地で即活躍している裏には〝あの弱点〟の強化がある。21日のアラベス戦で移籍後初先発した久保は、攻撃陣をけん引して1―0の勝利に貢献。本職の攻撃だけでなく課題の守備でも成長の跡を見せている。

久保は本来得意とするトップ下のポジションで躍動。後半43分までプレーしてアウェーで白星をつかむ立役者となった。ルイス・ガルシア監督(43)は「彼にとても満足している。私は幸せで、彼は私たちに多くのものを与えてくれるだろう」と久保の働きを絶賛した。

低迷した昨季とは対照的な活躍ぶりは、2019―20年シーズンに所属した古巣で周囲に理解者が多いことが大きい。「タケ(久保)のことを誰もが知っている。それがいいことだ」と指揮官も指摘している。しかし、それだけが理由ではない。久保自身も大きな進化を果たしている。

FC東京時代の久保の先輩で元日本代表の石川直宏クラブコミュニケーター(40)は今季開幕前に、昨季スペインで弱点と批判された久保の守備についてこう指摘した。「間違いなく進化している。守備での切り替えが早くできている。スペインでレベルが高い中で要求も高くなるし、求められることも増えるけど、試行錯誤しながら自分の力にして結果につなげ始めている。そこは本当に進化している印象がある」

昨季は強豪ビリャレアル、フィジカル重視のヘタフェで過酷なサバイバルを経験したが、それを糧にして現在は弱点を克服しつつあるという。実際にアラベス戦ではフィジカルの強い選手たちを相手に球際の争いを示すデュエルが13回あり、6回勝利(データは「ソファースコア」)。勝率はまだ高いとは言えないが、回数も含めて積極的に激しい攻防を仕掛けて互角に渡り合っている。

守備強化の背景にあるのが久保特有の吸収の早さ。「自分だったら2~3年かかることも1年以内でやってのける。いろんなうまくいかないことを受け止めて、結果につなげるまでの過程が濃くて早い。課題が出てきたほうが力にして結果につなげちゃえる男」と石川氏は舌を巻く。一皮むけた今季の久保は、大きな飛躍が期待できそうだ。

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