長崎商が15安打で快勝 第103回全国高校野球選手権大会

【2回戦、専大松戸―長崎商】1回裏長崎商無死満塁、宮城が先制の右犠飛を放つ=甲子園

 心地よい金属音が次々と甲子園に響いた。1回戦の13安打を上回る攻撃で春の関東王者をのみ込んだ長崎商。持ち味の堅実な野球に随所で積極性を加えてみせた。長崎大会はチーム打率3割未満だった選手たちの目覚ましい成長に、西口監督も「顔つきも言葉のやりとりも、どんどん良くなっている」と喜んだ。
 初回の先制が大きかった。1番大坪が外角低めの難しい直球を左へ運ぶと、初戦は1犠打0盗塁と動かなかった指揮官が仕掛けた。バント、エンドラン(ファウル)、盗塁と1球ずつサインを変えて無死二塁とすると、横田がバントの構えから強攻して右前打。さらに二盗と大町の四球で揺さぶり、宮城、城戸がそれぞれファーストストライクを捉えて2点を生んだ。
 右腕に対してキーマンだった左打者で2桁安打を記録。2-2から3点を勝ち越した五回も1死一塁から大町がカウント3-0で高めの直球を迷わず引っ張る攻めの姿勢を見せた。詰まりながらも右前に落ちて後続の3連続適時打を演出。計15安打でも長打はゼロと、コンパクトにつなぐ“らしさ”の徹底も、全体的な力強さにつながった。
 県勢が夏の甲子園で2勝を挙げたのは2007年の長崎日大以来、14年ぶり。とりわけ打ち負ける印象が根強かった中、それを見事に振り払った。今大会出場49校で唯一の市立校が九州勢でもただ一つ3回戦に進んだ。
 リードオフマンで3安打の大坪は「一人一人が逆方向を意識し、いいピッチャーでも対処できる自信をつけてきている。次も自分からチャンスをつくりたい」とさらなる快進撃を誓っていた。

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