阪神・青柳「10勝は通過点」 井川慶以来、トラ18年ぶりの沢村賞も見えてきた!

後半戦も好投が続く阪神・青柳

阪神・青柳晃洋投手(27)が25日のDeNA戦(京セラ)に先発し7回2失点。キャリアハイ、そしてハーラー単独トップの10勝目をマークし、大事なカード頭の一戦を8―2の白星で飾った。

打線の大量リードにも守られ、危なげない投球内容だった。矢野監督も「青柳の日々の努力とチャレンジが実になっているシーズン。(10勝到達は)投球術やタイミングも駆使しているからこそ」と背番号50を称賛。「10勝は通過点。粘ってしっかり投げることができて良かった」と試合後、お立ち台で白い歯を見せた変則右腕の背中からは、貫禄さえ漂い始めた。勝利数だけでなく防御率1・91、勝率8割3分3厘もリーグトップ。球界最高の投手に贈られるタイトル「沢村賞」の受賞すら夢物語ではなくなってきた。

この日7回を投げ切った青柳の今季投球回数はリーグ3位の108回1/3。イニングイーターとしてもチームを支えていることがよく分かる。同賞の重要な選考基準の一つである完投数は「1」と心もとないが、コロナ禍による特例で9回打ち切りのルールが適用されている今季は、各球団ともに早め早めの継投策に移行しており、リーグトップの完投数は柳(中日)ら5投手の「2」にとどまっている現状も考慮する必要がありそうだ。

その一方で同賞の新たな選考上の補足項目として近年注目されている、クオリティースタートもリーグ2位の「13」。さまざまな面で青柳が「最高峰の投手」であることは数字上でも証明されている。

阪神の投手が最後に沢村賞を受賞したのは井川慶。18年ぶりとなるリーグ制覇を果たした2003年の記録だ。やはり同賞は優勝チームのエースにこそふさわしい。15年のドラフト会議で5位指名された無名変則右腕の〝成り上がり物語〟はどこまで続くのか、注目したい。

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