【アニソン四半世紀】スカートとPUNPEE「ODDTAXI」話題のアニメ彩った“令和のブギー・バック”

スカートとPUNPEE「ODDTAXI」ジャケット

このコラムはタイトル通り、「残酷な天使のテーゼ」(1995年)から「炎」(2020年)までの25年間に発表されたアニソンがターゲットだ。しかし、今回は番外編として、今年の曲を取り上げさせていただきたい。“10年に1度”級の名曲が生まれてしまったので、スルーするわけにはいかないのである。

今年の4~6月に放送されたアニメ「オッドタクシー」は、擬人化した動物たちが繰り広げる群像劇。ジャンルとしてはかなり本格的なミステリーだ。放送中から事件の謎に関する考察合戦がネット上で盛り上がっていたが、謎や伏線を完璧なまでに回収した最終回終了後も、傑作と評価する声が後を絶たない。

そんな話題のアニメでオープニングを飾ったのが、スカートとPUNPEE名義で発表された「ODDTAXI」。澤部渡のソロユニットであるスカートと、ヒップホップアーティストのPUNPEEがこの曲のために組んだプロジェクトによる曲だ。

メロウなシティーポップ系のボーカルとラップの組み合わせは、小沢健二とスチャダラパーのヒット曲「今夜はブギー・バック」(94年)を思わせる。サウンドやリズムにも共通点は多いのだが、全体を支配するムードは正反対。ブギー・バックのちょっとバブリーなパーティー感は「ODDTAXI」にはみじんもなく、コロナ禍による自粛ムードと先の見えない閉塞感に満ちているのだ。

ブギー・バックのころの空気など全く味わえなくなってしまった現在の東京。“令和のブギー・バック”として見事なまでに傑作ミステリーアニメを彩ったと思う。

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