ソフトバンク逆転Vはあるか? 加藤伸一氏「他球団は王者の“末脚”を恐れている」

9回は甲斐野だ

リーグ連覇と5年連続日本一を目指しているソフトバンクが窮地に立たされている。首位・オリックスとの3連戦に2敗1分け。勝率5割に逆戻りとなり今季最大の6ゲーム差となった。残り42試合となった中で逆転Vの可能性は残されているのか。本紙評論家の加藤伸一氏の見解は――

【インハイ アウトロー 加藤伸一】オリックスとは直接対決が8試合あり、残り42試合で6ゲーム差。数字的には厳しくも見えても、ソフトバンクからすれば決して悲観する段階ではない。言うなれば今が我慢のしどころだろう。

ここ数試合は終盤にリリーフが打たれているが、はっきり言ってメンツはそろっている。森、モイネロに続き、岩崎まで離脱したが、名前や実績がないだけで他球団から見ればぜいたくなほど力のあるボールを投げる投手が多くいる。今も救援防御率はダントツ。実際、現在の悪い流れになる前は、森やモイネロがいなくても最強リリーフ陣としてチームを支えていた。

あとはどう状態を見極めながら起用し、目配りしていくかだろう。9回は現状、臨機応変に行くしかない。今のいい投手から順番に…という話を工藤監督もしていたが、その通りで今なら9回は甲斐野だ。板東、津森、松本、尾形、左は嘉弥真、そして笠谷もリリーフでは力のあるボールを投げる。ファームにも好投手が多くいる。先発も千賀が復帰して厚みが増しており、試合巧者としてのホークスの戦い方をしていけばいい。

他球団に目を移しても決して余裕があるわけではない。オリックスも山本、宮城の二枚看板は強力だが近年は首位争いをしていないチームだ。オリックスの人間とも話をするが、いつガタガタ来るか分からないという不安の中で戦っている。2位ロッテも3位楽天も優勝を目指す上で、恐れているのは4位ソフトバンクの〝末脚〟だろう。

昨季も10月の頭にロッテに0ゲーム差に迫られたが、気付けば2週間も負け知らずで終わってみれば14ゲーム差のぶっちぎりだった。今季のソフトバンクは交流戦でつまづいた。パ・リーグだけの戦いでいえばオリックスとは貯金の差も1しかない。まだ上位3球団が揃って潰しにきてもおかしくないくらいの段階ではないだろうか。

もちろん、さまざまな要素が加わり、ペナントレースは戦力通りにいかないことも多々ある。ただ、まだまだ逆転優勝の可能性は十分にあると見る。繰り返しになるが今が我慢のしどころだろう。

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