山歩きと美術作品コラボ 「ブナの森美術館」開館 9月1日から薬師岳山頂付近 障害者の絵画展示 大島区の細越平生会

 大島区大平細越の有志による「細越平生会」(髙橋雄一郎会長)は9月1日から30日までの1カ月間、同区にある薬師岳(標高466メートル)の山頂付近で、障害者が描いた絵画を展示する「ブナの森美術館」をオープンする。28日、会員ら14人による設置作業が行われた。

退色しない素材に作品を転写。山道沿いに複数作品が配置されている(28日の設置作業の様子)

 同会は平成12年、細越町内在住者や出身者により発足。現在は30~40代の10人が所属し、地域活性化を目的とした薬師岳の環境整備に取り組んでいる。

 薬師岳は、古くから登山による行事が催されてきた山岳信仰の地。しかし近年、地域の過疎化に伴い人の手が入らず、登山道などが荒廃状態にあった。同会は昨年度から上越市地域活動支援事業の採択を受け、草刈りや案内看板の設置、地域内外へ向けた情報発信を実施。登山道「薬師山道」は「上越の宝」の認定を受けている。

 今回の美術館は、会員の髙波進さん(42)と、障害者のアート作品をリースする「まちごと美術館CotoCoto」(新潟市)との縁により実現。県内の作家7人による動植物や夜空などの作品が山道を彩る。髙波さんは「差し込む日差しや霧ににじむ様子など、天候の変化によって作品の見え方も変わる。山歩きと絵画鑑賞を合わせて楽しんでほしい」と話す。

 会場は「ほくほく大島駅」から徒歩で約1時間。山道の中ほどからブナ林が広がる尾根道となり、右手(西)に関田山脈や妙高山、左手(東)に八海山など越後三山を一望できる。料金は無料で、期間中はいつでも入館可能。

 同会は今後も、さまざまなコンテンツ事業を通じたさらなる魅力発信を企画している。秋~冬には山腹にテント式のサウナを設置するイベントを、冬には「灯の回廊」に合わせたライトアップやキャンプイベントを予定。髙橋会長(44)は「会のモットーは『平らな心』で生き、楽しむこと。まずは会員が楽しみつつ、この地域から面白いことを発信できたら」と話した。

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