「子ども食堂」地域に浸透へ 長崎の11市民団体がネットワーク設立

「福田子ども食堂」の準備風景。寄付された食材について、島田さんは「絶対に無駄にしたくない」と語る=長崎市福田本町

 地域の子どもたちに食事などを提供する「子ども食堂」。長崎市内の11団体が9月1日、新たに市民団体「長崎市子ども食堂ネットワーク」を設立する。食堂同士の連携を深め運営の質を高めることで、取り組みが地域にさらに浸透していくことを目指している。
 代表の島田美穂里さん(45)によると、ネットワークは主に各団体の運営サポートや、食材の分配などに取り組む。どれも食堂運営者が抱える悩みから生まれたという。
 食堂の運営に当たってはさまざまな課題がある。思うように利用者が増えない団体がある一方、利用者が多くても支援が必要な家庭に接触できないことを課題に挙げる団体もある。また、開催頻度や規模は団体ごとに異なるため、食材がたくさん寄付されても調理しきれないところがあれば、食材がもっと必要なところもある。こういった悩みや食材を「シェア」し、解決を図ることが目的だ。
 各団体の代表者は今年1月、無料通信アプリ「LINE(ライン)」のグループをつくった。情報共有を始めたところ「うまく運用できた」。さらなる効果拡大を狙い、ネットワークを設立することにした。
 ネットワークは参加団体の支援だけでなく、行政との連絡調整や新規参入の支援も担う。新しく食堂を立ち上げようとした時に「どこに何を聞けばいいか分からない」のが現状という。助成金に関する情報提供など、食堂立ち上げに必要なサポートに取り組む。
 島田さんは同市福田地区で毎月開く「福田子ども食堂」で、2019年の立ち上げから事務局を担当。弁当やお菓子をもらってうれしそうな子どもの姿を見ることにやりがいを感じている。「子ども食堂はみんなの居場所。子どもの成長をみんなで見守り、助け合う、そんな場所を広げたい」と意気込みを語った。
 11月には設立式も予定している。問い合わせは島田さん(電080.5282.1038)。

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