『タイヤの気持ち』を理解しなければ。タイヤと会話がしたい【坂東マサの『俺に書かせろ!』/第5回】

 レーシングプロジェクトバンドウの代表として国内トップカテゴリーであるスーパーGT GT500クラスに参戦しつつ、青年実業家としてさまざまなチャレンジを続ける坂東正敬監督。そんなマサ監督が日々のレースや、実業家としての活動のなかで、面白いと思ったこと、取り組んでいることについて、自ら筆をとります!

 第5回目は40kgのサクセスウエイトを積んで挑んだスーパーGT第3戦鈴鹿の振り返り、19号車WedsSport ADVAN GR Supraのタイヤ選択の裏側、そして9月11〜12日に開催される第5戦SUGOの本命予想などなど、今回もボリュームたっぷりでお届けします。

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 押忍!

 第3戦鈴鹿は19号車WedsSport ADVAN GR Supraにとっては残念なレース結果となってしまい気持ちを切り替え中の坂東マサです。

 GTアソシエイションによるPCR検査のお陰で今回も無事にレースが開催されたこと、本当に感謝しております。

 さて、第3戦鈴鹿の振り返りですが、GT500クラスの本命予想は8号車ARTA NSX-GT、23号車MOTUL AUTECH GT-R、38号車ZENT GR Supra、そして我らが19号車でしたね。

 23号車は的中、しかしニッサンが表彰台を占めるとまでは予想していませんでした。23号車はこれで鈴鹿戦3連勝。完敗でした。

 サクセスウエイト10kgあたり0.2秒くらいタイムが落ちると言われている鈴鹿のGT500クラスの戦いですが、やはりウエイトの影響が大きく影響し、公式予選Q1から軽いクルマが上位に行きましたね。

 40kgを積んだ19号車でしたが、3戦連続トヨタGRスープラ勢予選トップというポジティブな部分もありました。しかし、Q2進出まで0.05秒だったので悔しい予選となりました。ちなみに第4戦もてぎも0.05秒差で2番グリッドでしたね(悲)。本当に良くできたレギュレーションだと思います。

 僕たちもそうでしたがGRスープラ勢は、路面温度とタイヤのマッチングが原因かもしれません。

 もちろん、タイヤ積み込みギリギリまで天気予報を見て、どのタイヤを積み込むのか依頼をするのですが、僕はハード側のタイヤで走ればタレれることはないだろうと予想していました。

 しかし、タイヤが路面を掴む感じがもてぎとは違い、レースではグリップ不足に悩まされました。これは持ち込みタイヤを決めた僕に責任があります。

 もう少しソフトめのタイヤでも良かったのかな? とレース後には思いました(まぁレース後には誰でもタラレバは思えるんですけどね)。

 鈴鹿のサーキット特性もあるので路面、ダウンフォース、エンジンパワーなどすべてのデータを理解した上で、タイヤを路面に押し付けた段階でグリップが出ます。タイヤの気持ちを理解しないとですね。

2021スーパーGT第3戦鈴鹿 WedsSport ADVAN GR Supra(国本雄資/宮田莉朋)
2021スーパーGT第3戦鈴鹿 WedsSport ADVAN GR Supra(国本雄資/宮田莉朋)
第3戦鈴鹿を13位で終えたWedsSport ADVAN GR Supra(国本雄資/宮田莉朋)

■ヨコハマユーザーの24号車の表彰台獲得に悔しさと嬉しさが入り混じる

 GT500、GT300ともに表彰台にブリヂストン勢がいませんでした。いつ以来でしょう? ブリヂストン勢がタイヤ選択を外したのか。それともヨコハマタイヤ、ミシュラン、ダンロップの進化が現れた戦いだったのか。答え合わせは残り4戦でわかるでしょう……。

 今回は24号車リアライズコーポレーション ADVAN GT-Rが表彰台に乗りました。ヨコハマタイヤユーザーとしては悔しい気持ちと、タイヤを作ってくださってる人たちの努力が結果として現れて嬉しいという気持ちと半々でした。GT500、GT300ともに後半戦のヨコハマタイヤに期待してください。

 決勝レースの感想ですが、3メーカーのどのメーカーのマシンに一番ダウンフォースがあるのか。タイヤで曲がってるのか、メカニカルグリップで曲がってるのか。2位でチェッカーを受けた3号車CRAFTSPORTS MOTUL GT-Rと優勝した23号車との違いは? などなど、気になるところがたくさんありました。

 23号車の松田次生選手は23勝目を獲得されました、おめでとうございます。宮田莉朋選手も年間2勝すれば、今の松田選手の年齢までに達成できますが、この23勝の記録は本当に凄いことです。改めて、おめでとうございます。

 GT300クラスの予想は88号車JLOC ランボルギーニ GT3か4号車グッドスマイル 初音ミク AMGだと予想しました。75%の確率で当たりましたね。

 優勝した244号車たかのこの湯 GR Supra GTの活躍は、僕の仲間が外注メカニックで手伝ってるのと、堤優威選手は昨年35号車arto RC F GT3をドライブしていたこともあって応援していたので嬉しかったです。

 何より1位から6位までがヨコハマ勢だったので、タイヤ製造工場の人達の笑顔が浮かびました。本当に素晴らしい活躍でした。

 一方では、30号車TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GTの永井宏明選手も過去最高の6位でチェッカーを受けました。こちらも素晴らしい走りでしたね。

 いろいろなチームにさまざまなドラマがあるのでひとつひとつのドラマに注目して、みんなでスーパーGTを盛り上げたいですね。

 本当に伝えきれていないドラマがたくさんあります。今後の伝える側の課題だと考えています。

 多くのことが共感できる仲間や企業様がいればスポンサーメリットがあるので、プレゼンをしたときにスーパーGTの知名度があるのとないのではスポンサー活動に影響が出ます。そのため、まずはみんなでモータースポーツをメジャースポーツにしないといけないと思っています。

国本雄資(WedsSport ADVAN GR Supra)
宮田莉朋(WedsSport ADVAN GR Supra)
2021スーパーGT第3戦鈴鹿 WedsSport ADVAN GR Supra(国本雄資/宮田莉朋)

■第5戦SUGO本命予想。GT300は鈴鹿で好走を見せた“あのクルマ”が来る!

 さて……今回も莉朋選手が嫌いなトマトの話を書けませんでしたのでちょっと意外な情報を。

 莉朋選手のお母さんはモトクロスをやってたらしいです! しかも現在は大型バイクの免許も持ってるらしいですよ。チンクエチェントが似合う素敵なお母さんです。莉朋選手はお家でずっとシュミレーター三昧ですが、お母さんはアクティブらしいです。

 今回の鈴鹿も莉朋選手のお父さんから差し入れ頂きました。また、脇阪寿一さんのお父さんからも頂きました。ありがとうございました。

 さて、次は第5戦SUGOです。本命予想ですが、ドライであればGT500は19号車、24号車、8号車、38号車ですかね。GT300クラスは5号車マッハ車検 GTNET MC86 マッハ号、18号車UPGARAGE NSX GT3、35号車、61号車SUBARU BRZ R&D SPORTと予想しておきます。

 GRスープラ初走行となるスポーツランドSUGO。どのようなレースになるでしょうかね。なお、ダンロップタイヤ勢が事前テストを実施したとの情報があります。9月中旬のスポーツランドSUGOのは暑いのでしょうか、寒いのでしょうか。2年ぶりのレースにも“魔物”は姿を表すのでしょうか。楽しみしかないですね……。

 19号車としてはここで大量ポイント獲り、シリーズ5位以内で残り3戦チャンピオン争いに絡みたいと考えています。

 さて、今回も文章が長くなってしまったので次回は『リトモとトマト』、『国本選手の10年後』、『SUGO本命予想の答え合わせ』の3本予定です。

 最後になりますが、レーシングプロジェクトバンドウでは業務拡大につき従業員、パート、アルバイトを募集しております。ご応募はレーシングプロジェクトバンドウのオフィシャルホームページ内のリクルートページからお願いします。19号車とともに夢を追おう!

坂東正敬監督(WedsSport ADVAN GR Supra)
2021スーパーGT第3戦鈴鹿 WedsSport ADVAN GR Supra(国本雄資/宮田莉朋)

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