「どさくさ弾」に「シレッと弾」… 巨人・岡本和の“珍打法”が大注目

特大の33号ソロを放った岡本和

次はどんな〝珍打法〟が生まれるのか…。巨人・岡本和真内野手(25)が2日のヤクルト戦(京セラ)で、自己最多タイとなる33号ソロを放った。「キャリアハイ」を目標に掲げる主砲にとっては通過点にすぎないが、バットだけでなく岡本和が持つ独特なトークセンスの切れ味を増してきた。コメント力を巡っては一時は球団内で疑問視もされたが、今や一転して期待感が充満している。

「4番・岡本和」が誕生した思い出の京セラドームで、過去の自分に肩を並べた。初めて4番に座った2018年6月2日のオリックス戦でいきなりの特大弾。当時をほうふつとさせる一発は2回の第1打席で放たれた。ツバメ先発・石川の内角直球を完璧にとらえ、高々と舞い上がった打球は左翼ポール際の5階席に着弾した。

初めて30発超えを達成した18年に並ぶ33号ソロ。今季は1号が飛び出すまでに15試合を要したが、5、6月は月間9本ずつアーチを量産。気づけば4年連続で30発超えを果たし、本塁打争いのトップを走る。目標に掲げる「キャリアハイ」の達成ももはや時間の問題だろう。

チームが2―2の引き分けに持ち込んだ試合後の本人は「特に(記録は)何も意識していないですし。大事な試合が続くんで少しでも貢献し、できるように頑張りたい」。サラリと言ってのけたが、打棒上昇とともにもともとのユーモラスな顔ものぞかせるようになってきた。

スロースタートとなったシーズン序盤は身内の球団内から「本来のキャラクターは最高に面白いのにコメントがあまりね…」との声も上がっていた。確かに「もっと打てるように頑張ります」などの殊勝な言葉に終始してきたが、それだけで終わらないのが岡本和だ。

人を食ったようなつかみどころのない人柄に加え、独特な言葉のチョイスも大きな魅力の一つ。夏場を過ぎると、お立ち台で「どさくさ紛れに打ったろうかなあって」と言ってみたり「若さん(若林)のホームランの余韻が残っている間にシレッと打ったので良かった」など、他の野球選手からはまず聞かれない珍妙な言葉力でファンをどよめかせてきた。

これには球団関係者も「らしさが出てきて良かった。今度はどんな表現をするのか楽しみ」と首を長くする。「どさくさ弾」に「シレッと弾」に続き、今度はどんな〝珍打法〟が生まれるのか。チームをV3に導く打棒だけでなく、背番号25にはさまざまな期待がかけられている。

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