佐世保市立学校・中部地区 小学校再編 地区から反対の声 市教委「最善策探る」

中部地区の再編案

 長崎県佐世保市立学校の再編に向け、市教委が地区ごとに進める意見交換会。山手、小佐世保、祇園各小が位置する中部地区の再編案について、通学距離が長くなることなどを懸念する一部校区から反対意見が噴出した。市教委は「押し切って進めることはしない」とし、継続して協議を進める。
 「机の上で計算しているだけ」「低学年の子どもがそんなに長い距離を歩けるのか」。山手小校区を対象にした意見交換会。老朽校舎の解消と、約20年後もクラス替えが可能な規模の維持を目的に再編案を提示した市教委に対し、参加者から不満の声が上がった。
 中部地区の再編案では、祇園小(児童数478人)は現状のままだが、小規模化が進む山手小(同211人)と小佐世保小(同235人)を統合し、現在の小佐世保小の場所に統合小を設置する。統合すればクラス替えが可能な児童数300人を維持できると推計している。
 住民が反対する理由の一つは通学距離の長さだ。再編案の通り統合した場合、通学距離は長くて約3キロになる。道中は起伏があり、大人の足でも40分近くかかるという。加えて歩道が狭く、安全面を懸念する住民も多い。
 住民からは指定外通学を認める基準を厳しくするよう求める意見も出た。市立学校は地域ごとに通学する指定校が決まっているが、通学距離などを理由に指定校以外の学校に通うことも認められている。
 市教委によると、山手小校区から近隣の祇園小、清水小へは計43人、小佐世保小校区から祇園小へは35人が通っている。指定校に通う児童が増えれば、小規模校の解消につながるのではないかとみる住民も少なくない。住民はそれぞれの地域に子育て世代が住み続け、にぎわいを維持するためにも小学校の存続を求めている。
 市教委は指定校外への通学を認めていることについて「一定の基準を設け、保護者の意向を聞いて判断している」と説明。保護者の勤務の都合で祖父母宅などに帰宅する場合や、希望する部活動が指定校にない場合などに認めているという。再編案については「各校の保護者や地域代表らと意見を交わし、最善策を探っていく」としている。

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