株式会社アイエヌテック国上(新潟県柏崎市)を含むグループ3社の破産手続開始が決定、負債は3社合計で約32億円

株式会社東京商工リサーチ新潟支店によると、4月16日に東京地裁へ民事再生法の適用を申請し、同月22日に開始決定を受けていた株式会社アイエヌテック国上(新潟県柏崎市、資本金100万円)は、親会社の国上精機工業株式会社(神奈川県横浜市、資本金2,000万円)、関連の国上精機工業ホールディングス株式会社(神奈川県横浜市、資本金2,502万5,000円)とともに8月25日、東京地裁から破産手続開始決定を受けた。

破産管財人には、鈴木雅芳弁護士(多田総合法律事務所、東京都千代田区)が選任。負債は、アイエヌテック国上が約2億円、国上精機工業が約21億円、国上精機工業ホールディングスが約9億円で、3社合計約32億円(民事再生法申請時点)となった。

1991年11月に設立された「有限会社新潟テクノ」として、自動車用部品を主体とするプラスチック製品部品の製造を事業としていた企業が前身で、1998年11月に「株式会社アイエヌテック」に商号を変更し、自動車用部品のみならず、デジタルカメラ用部品の製造も開始。2006年4月期には15億円の売上を計上していた。

その後、自動車用部品の海外生産へのシフトなどもあり、徐々に受注が減少し、売上は約5億円にまで縮小。この間もリストラを実施しながら対応していたものの、赤字決算から脱しきれず、債務超過の状態が続いていた。

こういった中で、2019年2月に主力受注先の1社であった国上精機工業株式会社の出資の下で、新たにアイエヌテック国上を設立して事業を分割継承し、新体制で営業を継続。旧社は金融借入などの負債を残しながら株式会社事業再編KZ01号に商号を変更して、2020年6月23日に負債総額約7億8,000万円で特別清算を申請した。

その後、新体制での営業を継続していたが、新型コロナウイルス感染拡大の中で、親会社自体の業況が悪化し、これに連鎖する形で同社の受注も減少。グループとして法的手続きによる再建に移行すべく、グループの持株会社である国上精機工業ホールディングス株式会社を含めたグループ3社で民事再生法の適用を申請。開始決定をうけていた。

ただし、再生計画案の策定を進めるも認可を見込める計画案を見出せず、7月27日に再生手続廃止決定を受ける事態となった。以後、事業譲渡による雇用維持や取引存続を目指してきたが、事業譲渡は叶わず、今回の措置となった。

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