東京パラ 車いすバスケ日本男子 決勝へ ”日本のエース” 鳥海が活躍

【男子準決勝、日本―英国】第2クオーター、厳しいマークを受けながら前に出る鳥海=有明アリーナ

 17歳で出場したリオデジャネイロ大会から5年。「東京大会を通して成長を証明したい」。パラの舞台に戻ってきた鳥海(パラ神奈川SC)は、その言葉通りに日本のエースとして躍動した。チームが初めて挑んだこの日の準決勝も、縦横無尽にコートを疾走して勝利に貢献。「最高。この5年間が報われた。決勝でUSAにチャレンジできる。いろいろな面でうれしい」。そう話す目に涙がにじんだ。
 9位に終わったリオ大会に出る前から、東京に照準を合わせていた。「スタメンに入り、オールラウンダーを目指す」。東京で描く自らの姿をぶらすことなく進化を続け、目標を実現させた。
 リオの時と比べてプレー時間は増え、フル出場も当然になった。コート上のメンバーに応じて、ボール運びやアシストに回ったり、自ら点を取りに行ったりと、役割も変えられるようになった。
 スピードやチェアスキル、ディフェンスに加え、瞬時にフルパワーを出せる運動量…。以前からの武器も一段と磨かれ、この日も堅守からの速攻を決めるなど20得点、8リバウンド、8アシストの活躍だった。
 もしも「車いすバスケのオールスター」を決めるとしたら…。「一番最初に名前が挙がる選手になりたい」。さらなるステップアップを目指して、今後は海外リーグ挑戦を視野に入れている。だからこそ「金メダルを持って長崎に帰りたい」。それが、世界に羽ばたく最高のあいさつになる。


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