東京パラ 車いすバスケ男子 決勝進出 悲願のメダルへ 鳥海、川原が躍動

【男子準決勝、日本―英国】第3クオーター、シュートを決める川原(手前右から2人目)=有明アリーナ

 目標に掲げてきたメダル獲得を決めた後、ある選手は笑い、ある選手は歓喜の涙を流した。1976年トロント大会から45年-。車いすバスケットボール男子の日本が初の決勝進出を決め、12大会連続の挑戦で「メダル」という悲願を達成した。
 テーマにしてきた「ディフェンスで世界に勝つ」を体現した。2018年世界選手権王者の英国に、前半はインサイドを支配され、一時は10点差をつけられた。だが、粘りに粘って33-36で折り返すと、オールコートマンツーマンを仕掛けた第3クオーターに52-48と逆転に成功。一進一退の展開になった終盤は、走り負けずに速攻から得点を重ねた。最後は79-68で王者を振り切った。
 長崎市出身コンビの鳥海(パラ神奈川SC)から川原(千葉ホークス)へのホットラインもあった。2人はこの日も攻守両面で躍動。逆転勝利の立役者となった。
 ボール保持者への激しいプレスが、英国のシュート成功率を落とした。京谷ヘッドコーチが「外国人が1回こぐ間に日本人は3回こぐ」と自信を持つ素早さと運動量を生かし、堅守速攻で流れを引き寄せた。
 全競技を通じて最後の試合となる5日の決勝は、16年リオ大会に続いてV2を狙う米国に挑む。厳しい戦いも予想されるが、運動量、守備力、勢いは日本が上だ。「ものすごく強い相手だが、今の自分たちがどこまで通用するか楽しんでやりたい」(川原)。自国開催のパラリンピックの“大トリ”を笑顔で締めくくりにいく。


© 株式会社長崎新聞社